スルッとKANSAIおでかけ情報誌 Asobon!web

町のお店をこよなく愛するみなさんにお気に入りの一軒を紹介してもらいました。

アワジヤ菓機

14軒目

  • 大阪市中央区
  • Osaka Metro 南海電車

豊富な調理道具から、日本の魅力を発見できる店

僕が【アワジヤ菓機】に始めて訪れたのは15年くらい前だったと思います。当時、北摂のカフェでキッチンスタッフとして毎日あくせく働き、たまの休日になると厨房器具の専門店が集まるミナミの道具屋筋界隈によく足を運んでいました。あの頃はスマホもネット通販もなかったので、特殊な調理道具は実物を手に取ってお店で購入するのが当たり前でした。

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焼印も多数。みているだけでも楽しい。こちらの焼印は、温度変化に強い鋳物を使用。1,500円〜7,000円。

フルーツタルトやガトーショコラなんていう、いかにもカフェらしい焼き菓子を作る為の金型は、嫌になるくらい豊富にサイズがあるので、オーブンに金型がいくつ並ぶのかをきっちり測ってから買いに行かないと痛い目にあいます。

そんな修行時代を懐かしく思いながら、久し振りに【アワジヤ菓機】を訪れました。僕は現在、ベーカリーカフェのプロデュースをしたり、料理のケータリングをしています。ケーキ型やパン型には今でも大変お世話になっているので見慣れた器具もたくさん並んでいました。
そんなお店で、【アワジヤ菓機】代表の柴峠さんにお話を伺ってみたら製菓道具にも売れ筋や流行りがあるということなど、これまで知らなかった話を聞くことができました。

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店内には、さまざまな製菓用の調理器具が所狭しと置かれている。お菓子を作ったことがなくとも作りたくなるくらいの品揃え。作りたいものが決まっている場合は、オススメを聞いてみるのも◎。

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落雁を作る木型。様々な種類が置かれている。木型を作る後継者不足で職人が残り少なくなっているそう。ひとつ11,000円〜。

柴峠さんは、創業80年になる【アワジヤ菓機】の4代目。そんな柴峠さん曰く「まず、お菓子の器具の業界は飽和状態で、新しいものはほとんど生まれないのが現状ですが、有名な先生が調理講習で使ったものが売れる」のだそう。そんな中でも【アワジヤ菓機】では日本製で大判の金型が海外の方に年間数千枚ペースで売れていて、入荷待ち状態! これはすごい数だと思います。なんとも景気の良い話に、その金型について詳しく聞いてみたくなりました。

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よく売れるという金型がこちら。種類はたくさんあり、家庭用サイズも販売しているが現在、入荷日未定。
大判のものは11,500円〜。

これが売れるようになったのは、実は台湾で柴峠さんが営業をしたこともひとつの要因だったそう。韓国やタイも洋菓子作りには熱心ですが台湾が一番だそうです。さらに、洋菓子やパンの技術で、ずっとアジアの中では日本がパンの大会でトップだったけれど、昨年の世界チャンピオンは台湾から誕生。そのチャンピオンになったシェフも【アワジヤ菓機】の焼き型を使ってくれているとのこと。なぜなら、日本の金型は彫りが深くて鉄板に厚みがあるので、焼き色と陰影がくっきり出せるからなのだとか。それを求めて、アジアからプロの料理人だけではなく、一般の方がわざわざ【アワジヤ菓機】まで買いに来て、台湾や韓国ではお店だけでなく個人が作った洋菓子をインターネットで販売するのが流行っているなんて驚きの状況も。日本製の器具を使うと綺麗に焼き上がるので高く売れるとのこと。

街を歩けば、海外から入ってきた流行りのスイーツが溢れています。そのスイーツたちも、実は日本の職人達の技術に支えられているのかも知れません。お菓子作りの裏方とも言える菓機たちを普段気にかけることもないかも知れませんが、少し目を向けてみるとおもしろい発見があるのかも。

少なくとも15年前と変わらない佇まいの【アワジヤ菓機】はこれからも変わらずお菓子業界を支えてくれるに違いありません。

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手前がヨーロッパで作られた型、奥が日本製。陰影がはっきりとしているのがどちらかは一目瞭然。ちなみに、金型は関東、木型は西日本で作られるものが多いとのこと。

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右が4代目の柴峠さん。これまでペイストリーシェフの方に講義をしてもらう教室なども企画もしていた。現在は休止中だが、将来的にはまた行いたいとのこと。再開を待とう。

スルッとKANSAIエリアの便利でお得な乗車券

Data

アワジヤ菓機HP

アワジヤ菓機
交通
南海電車 なんば駅下車 徒歩約3分
Osaka Metro なんば駅下車 徒歩約9分
住所
大阪市中央区難波千日前7-11
電話
06-6632-3561
営業時間
8:30〜18:30
定休日
日曜・祝日

著者プロフィール

堀田裕介(ほった・ゆうすけ)/料理開拓人

1977年千里ニュータウン生まれ。ブロイラーのケージ式団地で育ち、美味しんぼの山岡士郎のような暮らしに憧れ、料理開拓人へと開化。現在は大空を羽ばたく渡り鳥のように日本各地の産地と都会を行き来し、様々な食のプロジェクトを進行中。foodscape!、EATBEAT!、Grow Rice Project主催。