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社局のお仕事

第22回 下電バスの特徴と児島営業所の仕事

  • 下津井電鉄

通勤、通学、おでかけと日々使う電車にバス。毎日のように使っているけど詳しくは知らない、そんな交通機関の知られざる舞台裏のお仕事をお伝えするこのコーナー。第22回は、岡山市内と倉敷、児島間の路線バスを運行する下電バス。下電バスの発祥の地、岡山県児島市にある児島営業所で齋藤 宏治さんと福元 浩也さんにお話を伺いました。

----はじめに下電バスがどのような会社なのか、という初歩的な質問からさせてください。

齋藤さん「下電バスは、下津井電鉄株式会社が行っている事業のひとつです。下津井電鉄が行っている事業はバス事業だけでなく、貸切バス専門の下電観光バス、高速道路にあるサービスエリアの運営や住宅事業、ほかにもさまざまな事業を行っています」

----多岐に渡りますね。会社のもともとの出発点は何になりますでしょうか?

齋藤さん「下津井電鉄という社名の通り、そもそもは鉄道事業をおこなっていました。ちょうど瀬戸大橋が完成する頃まで電車を走らせていました。橋ができる前はすごく賑わっていたのですが、時代の流れで車での移動が増え、利用率がずいぶん下がりまして、平成3年(1991年)に鉄道事業を廃止しました。話は前後しますが、もともと下津井電鉄は、児島が発祥なのです。ですので、本日は、児島まで来ていただいたというわけなんです」

2019_0220_0192.jpgお話を聞いた齋藤さん(左)と福元さん(右)。福元さんは、下津井出身で入社3年目。齋藤さんは、今年で入社12年目を迎える。

----なるほど。こちらが、発祥の地なのですね。

齋藤さん「児島を知らないと、下津井電鉄は語れないだろうと(笑)」

----この事務所がある場所が創業の地でもあるのでしょうか?

齋藤さん「鉄道事業をしている頃の駅舎がまだ残っているのですが、それがこの敷地内にある倉庫なんです。(指をさしながら)あれが鉄道の跡なんですよ。そういう意味で、ここはもちろん発祥の地なんですけど、下津井にも鉄道の駅舎があります。そちらには創業者の銅像も建っているんです。そこには駅舎があるだけで、会社はありません。ですので年に何回か掃除にも行きます。グループ会社全体掃除をする日がありまして、掃除の後はみんなで焼肉を食べるみたいな(笑)」

2019_0220_0304.jpg児島営業所内にある駅舎跡。今後、こちらをカフェなどにして活用する計画もあるそうだ。

2019_0220_0300.jpg廃線になってからしばらく経つものの綺麗に保存されている。駅表や看板も当時のものがそのまま設置されている。ちなみに当時の下津井駅まで片道料金は、240円。18分で児島から下津井まで移動できたそう。

----取り壊しなどをすることが多い時代ですが、そうやって綺麗に保存されているのは、いいですね。焼肉も楽しそうです(笑)。

齋藤さん「保存会というのがありまして、その方々によって保っていただけています。私たちも、グループ会社として清掃活動を行なっています」

----こちらの児島営業所から、その下津井の駅舎跡まではどのくらい距離があるのでしょうか?

齋藤さん「車で15分くらいです。下津井というバス停の奥で一般車両も入れます」

----会社の創業は、何年でしょうか?

福元さん「明治44年(1911年)で、今年で108年になります」

齋藤さん「もともとは社名が違うんですが」

福元さん「下津井軽便鉄道という名称でした」

齋藤さん「108年の歴史の中で両備バスと資本分離を行ったりもしました」

2019_0220_0356.jpg創業者の銅像。下電バスの下津井停留所の近くに建てられている。

2019_0220_0350.jpg旧下津井電鉄の駅舎。現在は線路とホームが保存会の手入れによって残っている。電車の姿も見られる。

----もともとは同じグループだったんですね。

齋藤さん「そうなんです。分離したことで岡山はバスの激戦区になっているんです」

----それは知りませんでした! ちなみに、児島というとジーンズで有名な町と思います。観光以外に地元の方も児島までは、下電バスを利用される方が多いのでしょうか?

齋藤さん「車で来られる方以外は、そうですね。児島にくるなら下電バスで来られると思います」

----やはりそうなんですね。ということは下電バスさんの岡山駅から児島をつなぐ興除線、ほかにも児島と倉敷駅をつなぐ塩生線や古城池線、天城線などは下電バスさんの特徴で、これがやはり下電バスの魅力になりますね。

齋藤さん「そうですね。児島の町の特徴ですと、やはり先ほども出ましたがジーンズです」

----確かにそうですね。それ以外の町の特徴というと、瀬戸内海にも近いですが、どのような町といえますでしょう?

齋藤さん「関連したことにはなりますが、ジーンズを製造していますのでアジアの方が従業員でたくさんいらっしゃいます。バスでお迎えに行ったりしてるので、よくわかります。研修を行なったり、実際製造に携わったりされているようです。自転車の集団を見かけたりもしますよ。繊維業が盛んな地域でしたので、ジーンズに取り組んだ結果が今あると」

----繊維業や何かしら繊維業に関わっている方が結構多いということですか?

齋藤さん「そうですね」

----仕事以外についてはどうでしょう? 児島の方々の遊び場所というのは、どちらに行かれるのでしょうか?

福元さん「倉敷が多いですね。車で30分くらいなので、個人的にはイオンに行きます」

齋藤さん「鷲羽山ハイランドという遊園地もあります」

----下電バスには鷲羽山ハイランドへの路線バスもありますか?

齋藤さん「はい。下津井行きでハイランド経由があります」

----下電バスさんには、先ほども話に出たようにたくさんの路線がありますよね。観光などでオススメの路線などありますでしょうか?

福元さん「倉敷と児島間を走る天城線と、塩生線はオススメです。東周りと西周りがあるのですが、塩生線は水島のコンビナートが見えたり、天城線は古い旧道のバス道を走ります」

齋藤さん「これらは欠かせない路線でして、昔は岡山駅から児島への路線が頻繁にあったんですが、今は1日に4本になっています。これも橋が完成した影響で、児島まで電鉄を使う方が多くなりました。だから、我々もそれを勧めていますが、バスを好んで乗られる方もまだまだいらっしゃいます」

----天城線についてはどうでしょうか?

齋藤さん「美観地区にも止まりますので観光客の方々の利用も多いですが、学校も多いので通学と通勤の方も多いですね」

----倉敷までの所要時間はどれくらいでしょうか?

齋藤さん「約1時間ですね。塩生線も天城線も同じくらいの時間です。倉敷市内が混みますので1時間というのは、おおよその時間です。美観地区の交通量が多く、金曜から週末にかけては、よく遅れが生じます。読めないですね」

----バスで行かれる方の多くは、美観地区の何をお目当てに来られるのかご存知でしょうか?

齋藤さん「川沿いから建物の風情を見に行かれる方が多いと思います。天気が良ければ落ち着く場所でもあります」

福元さん「バスで児島から倉敷に行かれる方も、倉敷からバスで児島に来られる方も両方いらっしゃいまして、ハイランドかジーンズストリートを観光された後に、夜は倉敷で宿泊するという方も多くいらっしゃいます」

----そういうことも確かに考えられますね。それで、下電バスさんと言えばというくらいによく登場するのが、ジーンズバスですが、あのバスはどのような経緯で作ることになったのでしょうか?

福元さん「倉敷の魅力をさらにPRしようと、倉敷市様・JR西日本様・日本旅行様のご協力で、国産ジーンズ発祥の地"児島"にバスを走らせようということになりました。
さらに特別なことをしたいと考えていた時に、やはり児島ということでジーンズで何かできないかと思い、知り合いにジーンズを作っている会社の方がいまして、その方を通して一緒に何かできませんかと打診したところ、快諾いただき現在のジーンズバスの形になったと聞いております」

----ジーンズバスはいつできたのでしょうか?

福元さん「2006年です」

----2006年に外装のラッピングが出来上がったんですね。内装はいつ頃に完成したのでしょうか?

齋藤さん「2010~2013年の間だと思うんですけど」

2019_0220_0374.jpgこちらがジーンズバス。ラッピングも新しくなっています。

----なるほど。地元の評判はいかがですか?

齋藤さん「ジーンズが好きな人は喜んでくださいます。シートにもジーンズを使用しているのですが、倉敷の美観地区の絵が描かれています。色落ちを利用して柄が描かれているのです。あれはすごいなと思います。
また、毎年ひな祭りの前後くらいでお雛様を飾ります。提携している幼稚園の園児たちが絵を描いてくれて、そのラッピングをしているので、今は特別仕様になっています(取材は、2019年2月に行いました)。だから、いつものジーンズバスではないですね」

----年間に何回かそういった特別な期間があるのでしょうか?ひな祭り以外にあったりしますか?

齋藤さん「ひな祭りだけです」

----ジーンズバスは、特別仕様の内装とラッピングがまずは特徴かと思いますが、それ以外には普通車とどんな違いがありますでしょうか?

福元さん「バーディー君という弊社のキャラクターが同乗していますね」

----ジーンズバスは、普段から路線バスとして運行しているのでしょうか?

福元さん「時間帯で動いているので普通の路線バスとして運行していて、時間は固定されているので修理等がなければその時間に走っています。具体的には、金・土・日の3日間の運行で、1日6本走っています(HPで運行時間は確認いただけますhttp://www.shimoden.net/rosen/kikaku/jeans.html)。倉敷からくる観光の方でも時間帯で接続できるようにしています」

----ラッピングのみのも合わせると、ジーンズバスというのは何台あるのでしょうか?

齋藤さん「全部で7台あります。ラッピングのみが6台、内装が特別なものが1台あります」

2019_0220_0381.jpg

----最近のお客さんの傾向などありますか?

齋藤さん「最近はもうインバウンドの観光客のみなさんですよ。児島は多いですねー。夕景鑑賞バスっていうのがあって、それにもインバウンドの方が多いです」

----それは団体ツアーではなく個人のお客さんが来られているということでしょうか?

齋藤さん「そうですね。ここ5年くらいで、児島だけではなく全体的に増加傾向にあります」

2019_0220_0419.jpgジーンズバスの車内。先頭には、話にも登場したバーディーくんが着座。よく見ると、手仕事で完成しているのがよくわかる。

----先ほどおっしゃられた、夕景バスというのは?

齋藤さん「鷲羽山夕景鑑賞という名で走っている専用のコースがあります。夕景が一望できるスポットを2箇所、三百山と鷲羽山展望台を巡ります(各スポット15分間鑑賞時間あり)。そのスポットを巡る路線は、JR児島駅からも乗車できますが、近隣の提携ホテルを回るんです。ホテルに宿泊されている方と観光の方も含めてのサービスというんですかね」

福元さん「提携ホテルでは、"夕景鑑賞したい"とフロントに問い合せがあると、こちらに連絡がきて"乗れますか?"という感じで情報が伝わってきます」

----夕食前に、少しそういうツアーに参加して景色を楽しむのはいいですね。

齋藤さん「三百山は天気がよければ、下津井で一番綺麗に夕日が見られるんじゃないですかね。ちょっと高いところなんで壮大な感じがするんですよ。そこから見る沈む夕日は最高だと思います。もう一つの鷲羽山展望台の第2展望台からは、ちょうど瀬戸大橋方向に夕日が見えるとこで」

----地元の方も見に行かれるのですか?

齋藤さん「最近は観光の方が多いので、少なくなったと思います」

----所要時間はどのくらいでしょうか?

齋藤さん「コースで2時間とっています」

----運賃はおいくらでしょう?

齋藤さん「510円です」

2019_0220_0266.jpg鷲羽山展望台から見る夕景。瀬戸大橋の奥に沈む夕日が見事。ちなみに夕景のみならず夜景も綺麗。

----かなりお手頃な料金ですね。路線バス以外にもいろいろありますね。結構バスの台数が必要になるような気がしますが、児島営業所にバスは何台ありますか?

齋藤さん「38台です」

----ちなみにどんな種類のバスでしょうか?

齋藤さん「大型が24台。中型6台、高速車両が3台、支援学校の送迎が児島で2台、貸し切りバスが3台です」

----貸し切りもあるんですね。

福元さん「車内の仕様が全然違いますし、席数も違います。お客様からのご要望があった時にきっちり対応ができるよう、児島営業所は38台あります。あと岡山市の営業所にも、同じくらい台数があります」

----所有されている車両の一番新しいのはいつ頃の車両になりますでしょう?

齋藤さん「昨年の10月頃に納車された車両があります」

----すごく新しい! その車両はこれまでと比べてどんな特徴がありますか?

齋藤さん「運賃表示器が大きくて見やすくなっています。液晶モニターになり、カラーです。こんなに大きく見えるんだって(笑)」

----現役で走っている一番古い車両はどのくらい前のものになりますでしょうか?

齋藤さん「路線バスとしては走ってないんですけど、Asobon!のバスまつり記事にも掲載してもらった529という車両です。スクールバスに利用しています。席数が多くてエンジンがしっかりしているから頑丈なんですよ。たまにこれに乗りたいとおっしゃるバスファンの方がいて、これでツアーに行ったりもします。この前は津山まで行きました。こんな古いバスはなかなかないですね。これは、下電バスが昔に買ったもので、その当時は利用者が本当に多かったと聞いています」

----会社として108年も継続されているなかで、さまざまな変化を遂げてこられているわけですね。児島に来た際には、夕景を楽しむバス、倉敷までの移動などで、ぜひ使ってみたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

下津井電鉄
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