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社局のお仕事

第20回 中鉄バスの歴史と仕事

  • 中鉄バス

通勤、通学、おでかけと日々使う電車にバス。毎日のように使っているけど詳しくは知らない、そんな交通機関の知られざる舞台裏のお仕事をお伝えするこのコーナー。第20回は、岡山の地で創業120年を超える中鉄バス。岡山市周辺と北部地域を中心に営業を続ける中鉄バスの歴史や岡山での役割について、管理部の山崎哲宏さんに伺いました。

----今日はあいにくの天気ですが、どうぞよろしくお願いいたします。岡山駅から少し離れた場所にありますが、もともとこの場所が車庫だったのでしょうか?

山崎さん「いえいえ。こちらに来たのは20年くらい前です。それまでは中鉄バスの本社は、北区中山下という場所にありまして、今その場所はマンションになっています。そして、そのマンションの1室を本社としているので、総務部しかそこには入っていないんです。」

----なるほど。現在、中鉄バスでは何台のバスを保有していますでしょう?

山崎さん「営業所が2つありまして、1つがこの岡山営業所、もう一つが御津町という現在では岡山市に合併されているのですが、その町にも車庫があり、合わせて約80台あります。こちらの岡山営業所と違い御津のバスは大きくないんです。道が広くありませんので、ノアなどのサイズの車で営業しております。」

----市内向けのバスは、常にここから出て行くわけですね。

山崎さん「もともと中鉄バスは、岡山市の北部を担当していますので、実は市内にあるよりも、この辺りにバスを置いておくのが一番効率がいいんです。」

----地理的という意味でしょうか?

山崎さん「そうです。北部にあるのが一番効率がよいです。」

----ここの車庫で整備とか全部されているのでしょうか?

山崎さん「はい。先ほどお伝えしたように総務部以外は、こちらに来ておりまして、私がここの長です。」

2019_0219_0139.jpg中鉄バスがまだ市内にあった当時の様子を写した写真。

----管理部というのは全体を管理される部署ということでしょうか?

山崎さん「私は管理部となっていますが、実はもう1枚名刺を持ってまして、バス事業部の部長でもあるんです。」

----兼務されているんですね。中鉄バスには長く勤めていらっしゃるんでしょうか?

山崎さん「実は、違うバス会社におりまして、昔はいろいろやっていました。大学を卒業してすぐバス会社に入社したのですが、バスとは関係のないところに、配属されました。しかも、地元で働こうと思っていたのですが、関東にまず5年行きました。
その後、新幹線の開発に関わる仕事があり、関西と関東を行ったり来たりするようになって、でも、ちょうど結婚もした時期でもあったので、地元でしっかり働きたいと会社を辞めまして。でどこに就職しようかとなって、地元で探していたら中鉄バスが募集をしているというのを見まして応募しました。」

----新幹線の開発に関わるということは、もともとはエンジニアだったんでしょうか?

山崎さん「いえ。私、文系だったんです。」

----えっ⁉️

山崎さん「SEをやっていました。当時はまだそれほど知識など関係なく。そもそもそういう仕事の前例がないもので、採用する方も勉強すればどうにかなるって感じで。」

----だから5年もの間地元を離れて。修行だったんですね。その会社を経て中鉄バスに再就職となったわけですね。

山崎さん「はい。最初こちらに入ったときはバスの部署ではなく、不動産の部門だったんですよ。そのうち不動産がなくなり総務に行き、本社を引き払うことになりましたので、不動産の部署の経験から、その仕事をするようになり、そういうのをずっとやりながらも銀行と融資の話や設備投資の話もやり、そうこうしているうちに、異動になって、10年前に今の役職になりました。」

2019_0219_0113.jpg昭和61年の中鉄バスの路線図。よく見ると中鉄の漢字が旧漢字を用いているのがわかる。

----バスに本格的に係り始めたのは10年前くらいといことですか?

山崎さん「そうですね。それまでは総務や、人事はいまだにやっていますけど、その前は不動産、その前がSEなので。」

----ちなみに、こちらで働く前、面接の時点で、歴史の長さはご存知でしたか?

山崎さん「はい。地元なので知っていました。」

2019_0219_0147.jpg約30年前に迎えた90周年に作られた社史。

2019_0219_0103.jpg中国鉄道時代の写真も収められている。機関車は9号機関車。ちなみに創業第1号の機関車は、イギリスのNasmyth, Wilson(ナスミス・ウィルソン)製。

----では、岡山で中鉄バスといえば、どういうイメージをみなさんお持ちなのでしょう?

山崎さん「老舗のバス会社というイメージだと思います。」

----さすが120年越えですね。明治29年創業で、最初はどういう路線を走っていたのでしょうか?

山崎さん「創業当時は中鉄バスの前身の中国鉄道で鉄道路線を引いていました。岡山を拠点に鉄道で山陰と結ぼうという構想だったみたいです。
昭和19年、国鉄に買収されましたが、現在のJR津山線・吉備線はもともと中国鉄道のものだったんです。吉備線は、今は桃太郎線って愛称で呼ばれています。その吉備線の駅の瓦に中鉄バスの名残が残っているんですよ。」

----それは歴史があるからこそですね。ちなみに、2018年の120周年には、何か記念の行事などされたのでしょうか?

山崎さん「従業員や関係している取引先のバス会社に記念品を配ったり、株主の方に記念の置き時計など作って渡したりはしたんですけど。」

2019_0219_0097.jpg明治期の機関車のほか、従業員また逓信大臣から発行された許可証まで残っている。

----それにしても、今見せていただいている90周年記念に作られた社史には、過去の写真や歴史がきちんと残されていて、まとめられているのはすごいですね。

山崎さん「そうですね。過去に走らせていたバスも外車だったことがこれを見ればわかります。シボレーなんですね。古い会社ですが、これだけ残っているのは、我ながら大したものだと思います。」

----最近のものも残されていますでしょうか?

山崎さん「最近のものは逆に残していません。と言いますのも、ネットでもどこでも必ずどこかに写真はありますので、こちらでアーカイブをせずとも自然に残っていきます。それよりも昔の写真を見せてくださいという方が多いので。」

----90年史には、天皇陛下が写っている写真もありますね。

山崎さん「これは勝山町に天皇陛下がくるという話ですね。木材市場があったので、そちらにこられたんじゃないかなぁ。」

----最初鉄道事業の後、バス事業となりますが、バス事業の始まりは、どのあたりを走っていたんでしょうか?

山崎さん「ここから山陰にむけてですね。鳥取まで行くバス路線があったり、米子にも路線ができていて。その路線について、我々はもう知らないんですけど。」

----昭和でも始めの頃だけ走っていたということでしょうか?

山崎さん「戦後まもなくの頃ですね。今ほどマイカーはなくて、乗り物っていえばバスでしたから。」

2019_0220_0892.jpg現在の中鉄バスの車両と岡山駅。ピンクと青と白を基調にしたカラーは、長く使用されている。

----戦後間もない頃からバスを運行して、もちろん当時のことはご存知ないですが、中鉄バスでこれまで働いてこられてどうですか?

山崎さん「古い会社なので、私は働きやすいと思います。私が入社したころからすでに働くシステムができていたし、情があるとこもありますので。」

----環境が整備されていたのですね。環境といえば、スルッとKANSAIに加盟されて岡山でのICカードへの需要はいかがでしょうか?

山崎さん「外国の方がほとんどICカードです。同じICカードなのですが、岡山は岡山のちょっとした文化がありまして、ICカードで切符を買う方が多いんです。アジア圏の方々も空港の券売機でICカードを使って切符を買う人が少なからずいらっしゃいます。」

----それは興味深いですね。また、実際走っているバスなのですが、現在のバスの形になったのはいつ頃でしょうか?

山崎さん「ボンネットバスや木炭バスも走っていて。それからバスの形はどんどん変わって、ガソリンで走るようになったのは昭和30年くらいじゃないかと。」

----この車庫についても少し伺いたいのですが、基本的にこちらで整備や修理、ラッピングなどをされているのですよね?

山崎さん「現場での仕事は委託しているのですが、基本的にこちらでラッピングもやります。整備や修理はできる限りこちらでやるということになっています。」

----ここに市内向けのバスは全て揃っていますか?

山崎さん「営業が終われば全てこちらに戻ってきます。」

----ちなみに、特別な車両はありますでしょうか?

山崎さん「はい。てんぷら油で動くバスを2台今運行しています。環境にいいということで岡山市からラッピング費用と車内の広告費をいただいて、借り上げという形で走らせています。
実際にてんぷら油で動いていて、燃費は軽油とあまり変わりません。でも、てんぷら油そのままじゃなくて精製する必要があるので、精製したものをタンクで持ってきてもらいます。それを使って走らせています。」

2019_0219_0164.jpgバイオディーゼル燃料で走る車体は、ベージュを基調にしたカラーリング。BDFは、Bio Diesel Fuelの略。

----その燃料はどちらで精製しているのでしょうか?

山崎さん「岡山市の環境局が、植物性の油が公害にならないということを普及しようと、バイオディーゼル燃料に対して補助を出しています。てんぷら油っていうのは、そのバイオディーゼル燃料ですので、その制度を利用してDOWAエコシステムが、市内の給食とかで使用した油、老人ホームや公共施設から集めて精製してそれで走らせています。
路線バスとして導入したのが3年前からになります。【にじゅうまるプロジェクト】といって、生物多様性地域戦略の推進を目的に岡山では2017年4月から始まった環境問題対策なのですが、そちらに参加して取り組みを行っています。」

----ほかにもされている取り組みがあったりしますでしょうか?

山崎さん「バイオディーゼル燃料についてもう少し話をしますと、てんぷら油でやるっていうのは環境にはいいですが、実際には匂いが少しあります。徐々によくはなってきていますが、始めた当時は臭いとよく言われまして。乗っていてもだんだん匂いがして、中華料理店にいるような感じで。慣れてきたというのもあるし、精製も改良されたりしてよくはなっていますが、やはりお客様の理解が必要です。
ほかには、取り組みというほどのことではありませんが、昔のデザインをもう一回使ってクラッシックにしようと、やってみたところそれがいい反応でした。マイカーブームになる前のデザインですから乗られている方が多いです。その世代の方が懐かしいなと言ってくださって。」

----昭和50年くらいに走っていたやつですね。

山崎さん「もうちょっと前ですけど。塗装だけでお金かからないからやろうかってやったら反響がありました。」

2019_0219_0151.jpg青とピンクを主体としたデザイン。こちらが、復刻デザインとして現在3台が走っている。中鉄バスの当時のロゴが可愛い。

----現在も走っていますか?

山崎さん「はい。3台しかないので、なかなか出会えないかもしれませんが。」

----見られたら何かいいことがあるかもしれませんね(笑)。中鉄バスの120年の歴史の全てではありませんが、一面がのぞけたような気がします。ありがとうございました。

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