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社局のお仕事

第17回 阪堺電車 旅行企画課のお仕事

  • 阪堺電車

通勤、通学、おでかけと日々使う電車にバス。毎日のように使っているけど詳しくは知らない、そんな交通機関の知られざる舞台裏のお仕事をお伝えするこのコーナー。第17回は、大阪市内と堺市内を走る路面電車を運行する阪堺電車。貸切電車や近年では電車を使ったツアー企画も始めている。そんなチャレンジングな阪堺電車の旅行企画課の松本圭晃さんと田中明城さんにお話を伺いました。

----阪堺電車さんといえば、随分前になりますが映画「ロッキー4」公開時、つり革にボクシングのグローブがついた電車を走らせていたのを覚えています。

松本さん「走っていましたね。私はまだ乗務員でしたが。」

----あの頃から、貸切りもありましたし、おもしろい試みをされているなという印象がありました。あの後もそういった企画はありましたか?

松本さん「一昨年にまた、映画「オリエント急行殺人事件」のプロモーションで利用していただき、そこからディズニー作品の映画「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」のラッピングもさせてもらったりしました。普通の鉄道でしたら高架が多いので、乗られる方しかわからないところが、路面を走っていますので、歩行者の方からも見えますし、バスに乗っている方からも見えたりと、そういうメリットがありますので、引き続きご依頼いただいております。」

----そうでしたか。ちなみに、「ロッキー4」などはどのようにして行われることに?

松本さん「配給会社の方が持ち込みで来られて、できるかできないかを社内で検討してはじまったと聞いております。」

2019_0125_0187.jpg種類もさることながら、カラフルにラッピングされた車両が印象的。中央のグリーンの車体が、よくイベントなどに使われる車両。

----それまではやったことがなかったということですね。では、本題のツアーの企画ですが、こちらはどのような流れで始まったのでしょう?

松本さん「私はもともと乗務員をやっていましたが、2008年に本社勤務になりました。個人的に旅も好きだったので、業務とは関係なく旅行業務取扱管理者の資格を取りに行ったんです。2010年でした。取っただけで特に何をするでもなく、ツアー企画は出来ないかという話もありましたが、旅行業を行うためには、多額の保証金が必要であったため、当時は実現いたしませんでした。それが2015年になり、住吉~住吉公園間の廃止を控えたなかで、イベントやツアーを実施出来ないかという話があがり、当時南海電鉄から出向で来られていた役員の方も旅行業務取扱管理者の資格をお持ちであったこともあり、2015年に旅行業の登録及び旅行企画課の立ち上げを行うことになりました。」

----その区間の廃線はいつだったのでしょうか?

松本さん「2016年1月30日です。廃線関連のツアーを12月、1月に実施しました。」

----反響はいかがでしたか?

松本さん「売り出した即日に完売でした。」

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17th_kikizake2.jpg上がボージョレ・ヌーヴォ解禁ツアー、下が利き酒ツアー当日の様子。お酒好き、電車好き、男性、女性と参加者もさまざま。狭き門ながら毎回参加のツワモノも!

----すごいですね!

松本さん「1日4回のツアーを2日間分(8回)を販売したところ、1回30名様のチケットがその日のうちに全て予約いただきました。」

----大人気だったわけですね。どのように告知をされたのでしょうか?

松本さん「ホームページの告知のみだったんです。」

----ホームページだけで、完売ですか!

松本さん「そうなんです。ファンの方のつながりで、おひとりに知っていただけると一気に拡散していただけるようでして。」

田中さん「こちらもそのときはじめて、ホームページを結構見ていただいているんだということを知りました(笑)」

----笑

----それから続けていこうということになったのは?

松本さん「この廃線ツアーイベントが好評であったこともあり、もっと色々なツアーを企画していくことになりました。その1つが、毎年6月に行っている「路面電車まつり」が終わってから、車庫からご乗車いただき貸切電車を走らせるツアーを企画し、毎年実施しています。」

----2016年から毎年?

松本さん「そうですね。こちらもすぐに満席になるので、継続して行っています。」

----具体的にはどのような内容で?

松本さん「車庫のイベントは10時から夕方4時までやるのですが、会場が閉まってから車庫から恵美須町駅まで乗車いただくようなものになります。」

2019_0125_0004.jpg昔から旅が好きだと言う松本さん。実際、自分の足で酒蔵などを訪ねて味などを確かめにいくことも。今後は、出会いの場を提供するようなツアーも検討中だとか。

----車庫から乗車というのが、特別感がある感じですね。そのツアーについてなのですが、企画会議などがあって、決めていくと思うのですが、この旅行企画課というのは、日頃どんなことをされているのでしょうか?

松本さん「私の場合、旅行企画課の中でもイベントなども担当しておりますので、南海電鉄の情報誌NATTSのチームなどと年間でスケジュールを決めていて、それに基づいてどんなことができるかを具体的な中身を考えています。」

----その具体的に決められたことというのは?

松本さん「利き酒ツアーなどを行なったりしています。これも大変な人気で即日完売しました。新潟県事務所の方にご協力いただいて、今回で2回目になります。」

----すごいですね。

田中さん「30分で30名の定員がいっぱいになりました。」

----速い。

松本さん「途中トイレ休憩もありますが、2時間20分ほど電車に乗っていただき、お酒を7種類飲み比べしていただきます。」

----3、4合の量でしたら、人によるとは思いますが、いい気分になって?

松本さん「そうですね、きっちりいい気分で。けっこう酔われる方もいらっしゃいます(笑)。」

一同 笑

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17th_kikizake3.jpgツアーのご案内はこちら。ツアーの発表は不定期に行われるので、こまめにチェックするのが吉。https://area18.smp.ne.jp/area/table/4025/bErqc4/M?S=lasgo2mftel

松本さん「お酒に関するイベントやツアーは、すぐに定員に達する傾向にありますね。」

----確かに、お酒を飲みながら、路面電車に乗るのは楽しそうなイメージですし、相性も良さそうです。

松本さん「毎回リピーターの方もおられます。この飲食のツアーをするために、旅行業以外にも保健所の届出も行い、お酒の販売に関しても許可をとりました。」

----電車からどんどん広がっていきますね。ちなみに車内で飲食物を販売する場合、どういった届出になるんでしょうか?

松本さん「弊社の場合は、飲食店営業の届出になります。」

田中さん「(冗談ですが)終点の駅に電車を留置し、電車をお店として営業しようかという話も一時期はありました。」

----それとお酒の販売する許可も得ていると。

松本さん「はい。ツアーの中でもお買い上げいただけるようにお酒の販売も行なっています。」

2019_0125_0152.jpgツアーなどによく使われる阪堺電車最古の車体。中央にある机は、バーカウンター。和歌山の国産材で造られており、味のある車内とマッチしている。

----ゆくゆくはオリジナルのお酒なども販売できれば、おもしろいかもしれませんね。そのほかはどんなツアーなどを?

松本さん「ほかは、バスで案内するツアーの仕事なども行なっています。タレントさんと一緒に行くツアーもあります。」

----そうですか。どなたと行くツアーで?

松本さん「斉藤雪乃さんです。最初の鉄道のイベントが弊社のイベントでしたので、そのころからのご縁でずっとやらせていただいています。」

2019_0125_0167.jpg年間300回を超えるという阪堺電車の貸切り情報はこちら。誕生日、結婚式、飲み会、プレゼンなどなどアイデア次第で無限の楽しみがあると言っても過言ではなさそう。
http://www.hankai.co.jp/reserve/

----そんなお付き合いもあったんですね。今後考えられているツアーなどは?

松本さん「新潟の利き酒イベントは非常に人気もありますので、今後も継続的に行えればと思っています。あと、斉藤さんのツアーが2年ほどできていませんので、ファンの方から"松本さんやってくださいよ"と言われるんです(笑)」

----指名されるんですか!

松本さん「私が企画などしていることをもうみなさんご存知なんです(笑)」

----笑 お客さんとの距離が近いですね。ちなみに、個人的にやってみたいツアーなどはありますでしょうか?

松本さん「以前、都道府県をテーマにツアーをやってみたらいいんじゃないかと、北海道のツアーをやってみたんですが、これが思いの外苦戦したんです。社内でも色々な意見があったのですが、その後、新潟の利き酒ツアーが即日完売したので、巻き返せたかなと思います。今後それを少しずつ考えていければと思っています。」

----ほかにもどんな人気のツアーがありますか?

松本さん「一昨年に堺をテーマにしたツアーを行いました。堺といえば、千利休と与謝野晶子ですので、二人に関係するものを考えて、山梨県で与謝野晶子が酒蔵に宿泊した時に歌を詠み、その酒蔵が酒の銘柄を変えたと言う話があったので、山梨に行きまして、そこのお酒を仕入れさせてもらえるようにお願いしました。それで、千利休のお酒と一緒にツアーを考えさせてもらいました。ほかには、堺は穴子も有名ですので、穴子ツアー、また、特別なスイーツのお重を車内で食べるスイーツ電車というのも行いました。こちらも1回の予定で募集をかけたところ30分ほどで完売になってしまいましたので、急遽、もう1便出すようにしました。」

----お客さんはどういった方が多いんでしょうか? 女性が多そうなイメージですが。

松本さん「女性がやはり多いです。鉄道好きの方も半数程いらっしゃいます。」

----そうですか! 意外でした。お客さんはみなさん初対面の方同士ですよね? 車内はどのような雰囲気なのでしょうか?

17th_sweets.jpgスイーツのお重は、ケーキ、焼き菓子などのほか豆乳プリンなど豪華なスイーツセット。

松本さん「例えば穴子のツアーであれば、穴子をご提供いただいた会社の社長が来られて、穴子の話をしてくださいます。」

田中さん「すごく盛り上げていただけます。」

----その時間はみなさん聞いているんですね。

松本さん「はい。その後、ご飯を食べたりお酒を飲んだり、そこから徐々にお客さん同士も話し始められます。」

----電車の中でお酒を飲んだりすると揺れなどが気になったりしないのかなとも思いますが。

松本さん「走る場所にもよりますが、運転速度は早くても時速50キロまでなので、揺れが気になって飲めないというようなところはありません。」

----なかなか、楽しいお仕事ですね。それでは、最後にこの仕事の醍醐味を教えてください。

松本さん「そうですね。ツアーに楽しくご参加いただくために、様々な準備などの苦労はありますが、初対面のお客様同士が、降りる頃には一体となっている姿を見ると、いいなぁと思います。」

----旅行企画課ならではの楽しみかもしれません。これからますます楽しいツアーを企画してもらえることを期待しています。

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阪堺電車
http://www.hankai.co.jp