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社局のお仕事

第13回 神戸電鉄 メモリアルトレイン・車両課のお仕事

  • 神戸電鉄

通勤、通学、おでかけと日々使う電車にバス。毎日のように使っているけど詳しくは知らない、そんな交通機関の知られざる舞台裏のお仕事をお伝えするこのコーナー。第13回は、2018年11月28日が鉄道開業90周年記念日である神戸電鉄。そして、そのメモリアルな年にふさわしいメモリアルトレインを走らせている神戸電鉄の車両課のお仕事について、能崎貴史さんにお話を伺いました。

----今日はどうぞよろしくお願いいたします。能崎さんは神戸電鉄で働かれて何年になるのでしょうか?

能崎さん「入社4年目になります。入社以来、車両課におりますが、車両課には係が2つあり、主に電車の検査やメンテナンスを行う検査係と設計関係の仕事を行う車両係があります。
私はつい先日までは検査係に所属しておりました。例えば、電車も自動車のように何年かに1度は検査(詳しくは、第1回塗装のお仕事~阪急電鉄正雀工場編~をご覧ください)を行うのですが、その検査工程の検討・作成や、協力会社さんとの対応を行なっておりました。そして、今年6月に車両係へ異動となり設計関係の仕事等をしております。」

2018_1025_0017.jpgこちらが入社4年目の能崎さん。お話を伺った部屋は、歴史を感じさせるとてもいい雰囲気の建物内の一角。

----なるほど。具体的に設計の仕事ってどんなことを?

能崎さん「部品の改造の検討や新造車両導入の際の立ち会い検査などを担当しています。まだまだ異動して間もないですので、早く一人前になれるよう一つひとつの業務に取り組んでいます。ゆくゆくは新造車の設計関係の仕事もやりたいと思っています。」

----ということは、仕事はルーティーンワークというより、いろんなことに対応するということですね?

能崎さん「そうですね、毎日やることは変わってきますね。」

----私たちの取材の対応もしていただいていますし、様々ですね。ちなみに、お住まいは?

能崎さん「鈴蘭台駅近くの実家から、徒歩で通勤しています。」

----そうなんですね。ということは小さい頃から神戸電鉄を利用していたと?

能崎さん「生まれは新神戸のあたりなのですが、2歳のころから今のところに住んでいまして。」

----そういった方はほかにもいらっしゃいますか?

能崎さん「沿線の方はたくさんいますが、この車庫に近いというのは、珍しいですね(笑)」

----社内では覚えてもらいやすいのではないですか?

能崎さん「そうですね(笑)」

2018_1025_0241.jpg山と住宅地の間にある鈴蘭台車庫。駅からは少し遠くにあるが自然豊かで居心地もよい。裏手の階段をあがると一望できるスポットに。

----ここからは神戸電鉄のお話を聞かせていただきたいのですが、鉄道開業90周年ということは戦前から走っているわけですが、開業当時はどの区間を走っていたのでしょうか?

能崎さん「湊川から有馬温泉の区間です。」

----開業当時から結構長い距離を走っていたのですね。

能崎さん「その20日後には、有馬口から三田間も開業しています。」

----そこから新開地まで延びる事になるのでしょうか?

能崎さん「新開地まで延びるのは結構あとになります。現在の粟生線は三木電気鉄道として開業し、戦後に合併しました。また、1968年(昭和43年)には神戸高速鉄道開業に合わせて新開地へ乗り入れる形となり、公園都市線の開業などを経て現在のような路線になりました。」

----今日、湊川から乗車させていただきましたが、景色がとてもいいです。山が近くて。

能崎さん「それが沿線の大きな特徴です。」

2018_1025_0105.jpg屋根のついた場所では、電車の検査などが行われる。

----鉄道開業90周年の今年、メモリアルトレインを走らせたということですが、塗装になるのでしょうか? それともラッピング?

能崎さん「塗装になります。」

----その塗装というのは、ここで塗装されるのでしょうか?

能崎さん「はい。この車庫内の塗装場で行います。塗装自体は協力会社さんに行なってもらっています。」

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----ちなみに、この車庫では検査と塗装のほかにどんなことをされるのでしょうか?

能崎さん「日常の清掃から大がかりな改造工事まで、この車庫で行います。」

----そうしますと、電車の修理や検査などといった一通りの仕事はこの場でできると。

能崎さん「そうですね。車輪をちゃんとした形に削る作業があるのですが、それだけは別の場所に機械があるので車両を移動させます。それ以外はここでやっています。」

----新造車もここに搬入しているのですか?

能崎さん「新造車は、粟生線の市場駅に搬入口がありますので、そこから搬入しています。」

----この鈴蘭台の車庫は神戸電鉄さんの中で一番大きな車庫になるのでしょうか?

能崎さん「車庫は2箇所あるのですが、ほとんどの機能がここにあります。ですので、こちらが中心になります。」

----働いている人数もたくさんいらっしゃる?

能崎さん「60名くらいでしょうか。」

temoto.jpg塗装場の様子。こちらでは、手作業で塗装を進めている。

----やはり仕事柄肉体を使った動きが多いと思いますが、男性が多いですか?

能崎さん「課内には現在女性社員が1名おりますが、つい最近まで男性が100%の職場でした。」

----ちなみに、運転士の方では?

能崎さん「現時点で女性運転士はいません。ただ、現在運輸部の女性社員1名が運転士を目指してがんばっていますので、近いうちに当社初の女性運転士が誕生するかもしれませんね。」

2018_1025_0205.jpg神戸電鉄車両工場内。こちらでは車両を分解しパーツごとに検査を行っている。

----改めて、メモリアルトレインの話ですが、どのような特徴が?

能崎さん「まずは、2つの時代のカラーを再現しています。また、車内では旧駅舎や車両を紹介する『90年の歴史展』も実施しています。最初に塗装したのが、戦後復興後の塗装であるスプリンググリーンとシルバーグレー、そして、もう一つが記憶にある方も多いかと思うのですが、高度経済成長期の塗装であるオレンジとシルバーグレーのタイプです。戦後の異なる2つの時代を感じていただきたいとの趣旨で復刻しました。」

----このメモリアルトレインを行うと決まったのはいつ頃でしょうか?

能崎さん「昨年(2017年)の12月くらいです。90周年記念事業に関する若手中心のプロジェクトチームが発足しまして、そこに私も入っていました。何ができるか検討した中で『旧塗装を復刻できないか』と意見が出て、そこから車両課で進めていくとことになりました。」

2018_1025_0106.jpg新旧車両が並ぶ車庫。1番右に写っている車両が、旧塗装復刻車両。

----旧塗装は難しくなかったのでしょうか?

能崎さん「課内で話したところ、鉄道開業90周年記念事業の目玉として賛同する意見もあり、比較的スムーズに話を進めることができました」

----その時すでに2種類に塗るということまで決まっていたのでしょうか?

能崎さん「その時点では、具体的なイメージはありませんでした。課内で話し合いを続けるうちに、やはり旧塗装の復刻、しかも皆が思いつかない(忘れられつつある)2種類の塗装を実施することでインパクトが出せないかということになりました。」

----実際に塗る作業などで何か苦労された点というのは?

能崎さん「色ですね。どの色が正解かわからなかったのですが、神戸電鉄を応援してくださっている方々に昔のカラー写真の提供をお願いしたり、教習室に置いてある模型を見本にして色見本と比較するなど、みなさんに助言をいただきながら進めることができました。」

----ちなみに、チームが発足してから完成するまでどれくらいの年月がかかりましたか?

能崎さん「ちょうど1年くらいです。具体的な検討は昨年の12月くらいから開始して、急ピッチで準備したところがありますね。」

2018_1025_0129.jpg「90年の歴史展」とともに能崎さんが考えたクイズ。答えはぜひ、2018年度中に神戸電鉄メモリアルトレインの車内で。

----車内の「90年の歴史展」はどのような写真を掲示したのでしょうか?

能崎さん「当社ホームページの中に鉄道開業90周年の特設サイトを作っているのですが、そこからある程度抜粋した形で掲出しました。ほかにも、メモリアルトレイン車内展示のオリジナル企画として、クイズを作ったりしました。自分のやったことが形になったので、すごく嬉しかったです。実は、それぞれのメモリアルトレインの営業運転開始前にデビューイベントを行ったのですが、イベントは通常車両課以外の部署が主催することが多く、ほとんど経験のない私が企画の段階からイベントの運営や関係者のみなさんとの調整なども担当させていただき、とても貴重な経験となりました。」

----そういう経緯であれば、尚のことですね。最後に、実際出来上がってみた感想は?

能崎さん「それは、感慨深いですよ(笑)」

昭和レトロミニフェスタ①.jpgイベント時、メモリアルトレインの展示の様子。電車ファン以外も多くの方が参加し賑やかなお披露目となった。

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