スルッとKANSAIおでかけ情報誌 Asobon!web

町のお店をこよなく愛するみなさんにお気に入りの一軒を紹介してもらいました。

ROCCA

2軒目

  • 神戸市中央区
  • 阪急電車、神戸市営地下鉄、阪神電車

女性ひとりで気軽に立ち寄れる、バー&食堂。

女ひとりで行ける飲み屋って、けっこう少ない。私の場合、単独で行動するのは好きだけれど、ひとりでバーや居酒屋に行く度胸はない。だからいっそう、そう感じるのかもしれない。そんな私でも緊張せずに立ち寄れるお店が、二宮商店街の中にある小さなバー&食堂ROCCA。店主のひとみさんが、「女性が気軽に立ち寄れるお店をつくりたい」と、駅から近くて静かなこの場所で2010年にオープンした。

私がいつも食べるのは、「漬け玉子のせごはんセット」という定食。週ごとにメニューが変わり、メインのごはんと、小鉢が2種類に汁物、店主お手製のぬか漬けがお膳に乗って出てくる。ごはん大好き、夜はしっかり食べたい派の私にとっては、うれしいメニューだ。ジャンルはその時々で違って、和風だったりアジアンな感じだったり、いろんなテイストを味わえる。ちゃんと献立を考えてくれている感じが家ごはんっぽくて、心がゆるむ。味付けはしっかりめで、酒のアテにももってこい。持論だけれど、酒に合うアテはたいてい、ごはんとの相性もいい。私はあんまりお酒が強くないのでたいていビールだけど、お酒も日本酒、焼酎、サングリアと一通り揃っている。

漬玉子のせごはんセットは、1000円。玉子を潰すタイミングを考えるのも、ちょっとした楽しみ。
店主のひとみさん。話しながら作ってくれるようすが、なんだか家の台所みたい。
汁物も、さまざまなジャンルが登場する。この日はあさりと春キャベツの味噌汁。
小鉢は単品でもオーダー可。卵焼きが卵白なのは、漬け玉子で黄身をたくさん使うから。

私がROCCAに通いはじめたのは、この店の常連・Kちゃんに連れていってもらったことがきっかけだった。打ち合わせや女子会で通うちに、ひとりでも行くようになった。ごはんがおいしいのはもちろんだけれど、店主のひとみさんになついてしまったから、というのが大きな理由。ひとみさんがテキパキとご飯をつくる背中を見ていたら、そのうち彼女の家に遊びに来たような錯覚におちいって、妙に居心地がよくなってしまったのだ。カフェとか居酒屋とかとはなにか違う、スナックみたいなお店だなって思う。女子にだって、ちょっと一杯やりながら、誰かに話を聞いてほしい夜がある。

落ち着くから、私はいつも、テーブル席に座る。カウンターが空いていたら、「こっちに来る?」と呼んでくれるのだけど、どうも人見知りなもんで…。それでも、お店に行くたびに、ひとみさんになにかしら悩みを打ち明けている。いや、気がつくと話してしまっている、と言ったほうが正しいかもしれない。カウンターに座ってじっくり話し込むことがなくても、お会計の時にさりげなく近況を聞いてくれる。お店が忙しいときや時間がないときは、ものすごく端的に、悩みを打ち明ける。数分の立ち話。彼女の言葉はいつも的確で、ひと言コメントをもらえば、気がすんでしまうのだから不思議である。だからいつも、すっきり爽快な気分で帰路につく。しつこいけれど、やっぱりスナックみたいだな。スナックでおじさんたちが得るものって、安定感なんじゃないかなって思う。家とは違うちょっとした非日常な空間。けれど家にいるみたいに安心できる、自分の居場所。私がこのお店に通う理由が、まさにそうなのだ。

センスのいい置物は、贈り物が多い。ひとみさんが好きな猫とこけし。
いつもおしゃべりに夢中になって読んだことがないけれど…改めて見ると、濃いセレクト。

Data

ROCCA

ROCCA
交通
阪神・阪急・神戸市営地下鉄 神戸三宮駅下車徒歩約4分
住所
神戸市中央区琴ノ緒町3-3-5-55
電話
078-271-2102
営業時間
17:00〜24:00
定休日
日・月曜

著者プロフィール

山森彩

山森彩(やまもり・あや)プロジェクトマネージャ/ライター

神戸市在住。デザイン・企画会社でディレクター職を経て、2015年に独立。プロジェクトマネジメントを軸に、編集やライター、ときに商店街の事務局スタッフとして活動中。誰かが大事に持っている思いや、町の小さな歴史や文化を言葉にして伝えることをコツコツと続けている。

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