スルッとKANSAIおでかけ情報誌 Asobon!web

町のお店をこよなく愛するみなさんにお気に入りの一軒を紹介してもらいました。

中川誠盛堂茶舗

6軒目

  • 滋賀県大津市
  • 京阪電車

日本茶を熱く語りたくなるお店

大津の京町通り(旧東海道)を歩いていると、どこからかお茶の良い香りが漂ってくる。その香りの正体は、店先にある中川誠盛堂茶舗の自家製釜で焙じられる「近江 赤ちゃん番茶」。焙じたての赤ちゃん番茶は、芳ばしいがやさしい香り。水出しで淹れると、番茶とは思えない、クセのないすっきりとした味でとても美味しい。
そんな赤ちゃん番茶の香りで店へと誘う中川誠盛堂茶舗には、3年前、同じ通りに店を構えてから、近くだからという軽い理由で入ってみた。するとすぐにこの中川誠盛堂茶舗が相当こだわりのある、日本でもめずらしいお茶屋さんだということがわかった。
店に入ると「いらっしゃいませ。お茶、お出ししますね。どうぞー」と、美味しい水出しの煎茶を出してくださる。お店に入った瞬間から居心地が良い。そして、店内を見回すと安政5年創業の文字、鰻の寝床と呼ばれる伝統的な家屋で、店の奥には中庭と蔵の姿。さらに、店の壁に開花堂の初代が作ったという茶缶がずらり、代々受け継がれてきたお店の歴史や重みをうかがえるのだ。

一般的に売られているお茶は、ブレンド茶だがこちらに並んでいるのは、すべてシングルオリジン。生産者の名前もしっかりと記載。生産者のお茶の味を理解し、大切にするという店の姿勢が伺える。それぞれの特徴がわかるのもシングルオリジンだからこそ。ちなみに、取材時に飲ませて頂いた朝宮茶は、まろやかな甘味とアミノ酸系の旨味も感じられた。

明治のころの中川誠盛堂茶舗。今のお店の隣にあったそう。この写真以外にも、長い歴史の中で大切に扱ってきた品々がきちんと保管・保存されている。店先には、樹齢400年、石田三成が秀吉に煎じたとされるお茶の幼木まで。

近頃、日本茶の業界でも珈琲や紅茶のように「シングルオリジン茶」というのをよく聞くようになったが、5代目店主・中川武さんは早くから滋賀のシングルオリジン茶を販売していた。お茶のパッケージにも産地と品種、そして生産者の名前が入っている。ブレンドされていない茶葉はどれもとても個性があり、ブレがない。中川誠盛堂に通うまで、自分が飲んでいるお茶の産地や品種、ましてや生産者など気にした事はなかった。けれど、シングルオリジン茶を一度知ってしまったら、もうこのおもしろさから抜け出せなくなってしまった。それほどまでに奥深い世界、ということもあるが、店主の武さんのお話しが興味深くて、ついつい聞き入ってしまうことも大きい。

最近はどこへ行くにもお土産として中川誠盛堂のお茶を持っていき、店主の武さんばりに熱く滋賀のお茶を語ってしまう。郷土のお茶を誇らしく語ることができるのもこのお店のお陰である。お茶の事を全然知らなかった私が、一緒にいただくお菓子や、相手、季節、時間によって茶葉や淹れ方を選ぶまでになった。こんなお店が近くにあることは本当にありがたい。

こちらが赤ちゃん番茶の茶葉。葉の形がしっかりとしているこれは、秋番茶でなく春番茶。厳冬期を越して摘まれる春番茶は、渋みがなく、甘味があり味も濃い。水出しがオススメ。

もともとカフェインが少ないということで、通称で赤ちゃん番茶と呼ばれていたのが、商品名に。300gで650円(税込み)のほか、ティーバック(30個入り)864円(税込み)もあり。

中川誠盛堂茶舗には、100種以上のお茶が販売されているが、それだけではなく和紅茶もあり。試飲をしながら、じっくり自分の好みのお茶を探せるのもこのお店が愛される由縁。

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Data

中川誠盛堂茶舗HP

中川誠盛堂茶舗
交通
京阪電車 島ノ関駅から徒歩約5分
住所
滋賀県大津市中央3-1-35
電話
077-523-1254
営業時間
9:00~19:00
定休日
日・祝

著者プロフィール

杉山知子(すぎやま・ともこ)/神保真珠商店店主

杉山知子(すぎやま・ともこ)/神保真珠商店店主

神保真珠商店の店主。1974年滋賀県大津市生まれ。
国内での知名度の低いびわ湖真珠を広く伝えるため、企業を退職し、2014年に家業の神保真珠商店を継ぐ。滋賀県庁前の店を拠点に県内外で販売会やイベントを行う。