スルッとKANSAIおでかけ情報誌 Asobon!web

町のお店をこよなく愛するみなさんにお気に入りの一軒を紹介してもらいました。

coto coto

5軒目

  • 奈良県奈良市
  • 近鉄電車

大和伝統野菜との出会いを“体験”するお店

「どうして奈良だったの?」。奈良・東京の2拠点生活を始めた今年、最も私に投げかけられる言葉だ。理由はいくつもある。その一つを挙げると、「キーパーソンのいる地域だった」から。東日本大震災以降、週一回、多いときには週二回のペースで全国の地方を回って取材するうち、私は都会から地方に移り住むことをいつしか決めていた。さらにその場所は「その地域を愛して、熱く活動しているような方=キーパーソンがいる土地にしよう」と。奈良は、私にとってそう思える方たちの多い、しっくりくるところだったのだ。

奈良のキーパーソンのお一組が、ここ「coto coto(コトコト)」のオーナーである三浦雅之・陽子さん夫妻。奈良市郊外にある農家レストラン「清澄の里 粟」を営むお二人として知っている人も多いことだろう。かつて雅之さんは福祉業界の研究機関に、陽子さんは看護師として病院に勤務していたけれど、現在の福祉のあり方に疑問を持ち、“人々が地域のなかで健やかに生きる農的暮らし”を求めて、「大和伝統野菜の復興」での地域づくりにたどりつく。しかし、ただ農家になるのではなく、「大和伝統野菜を老若男女に幅広く提供しよう」と2002年に「清澄の里 粟」、姉妹店として2009年に「粟 ならまち店」、2015年に「coto coto」をオープンさせた。もう、どこまでパワフルなのだろう……。

こちらは、ランチコース(1,800円)。彩り野菜 冷製バーニャカウダー、季節野菜の前菜とメインデッシュのプレート、季節野菜のスープ、赤米のごはん、デザートと珈琲または紅茶がついてくる。

こちらは、coto cotoの農園で育てている奈良の伝統野菜たち。
左の緑のものもその奥の黄色いものもズッキーニ。すべての野菜が甘さも充分で、瑞々しさが抜群。

初めて大和伝統野菜の料理をいただいたとき、力強い味わいとその食べやすさに驚いたことを覚えている。友人と「おいしい!」と言い合い、幸せな気持ちになった。また、まるで我が子を紹介するかのような口振りで、伝統野菜を説明してくださるスタッフのていねいな接客にも、心を打たれた。飲食というより、野菜との出会いを“体験”しに来るようなお店。そんな印象を持った。毎日自社農園から届けられる野菜は季節によって変わるので、頻繁に足を運びたくなってしまう。

野菜との出会い、と書いたが、“人”との出会いも提供していただいた。三浦夫妻が主催したイベントで、店長の新子大輔さんやスタッフをはじめ、多くのキーパーソンを紹介してもらったのだ。そのネットワークに支えられて私の奈良ライフがスタートしたことは、実に幸運だった。

忘れてはいけない。花巴や篠峯など、種類豊富な“地酒”との良き出会いもあった。運が良ければ、新子さんお手製のスイーツ、カヌレにもありつける。伝統野菜も人も、お酒もスイーツも。あぁ、書いていたらまた行きたくなってきた。

手に持っているのは、coto cotoの農園で採れた花オクラ。
この花びらの部分を食べる。粘り気が少しありサニーレタスのような食感が楽しい。

奈良市ならまちセンターの1Fにあるこちらはギャラリーも併設。
奈良の新しい魅力を発見できる場所として展示なども行っている。ちなみに2Fは図書館。

スルッとKANSAIエリアの便利でお得な乗車券

Data

coto cotoHP

coto coto
交通
近鉄 近鉄奈良駅下車徒歩約8分
住所
奈良市東寺林町38(奈良市ならまちセンター1F)
電話
0742-22-6922
営業時間
11:30〜17:00(LO16:30)
18:00〜24:00(LO23:00)
定休日
火曜、日曜の夜

著者プロフィール

小久保よしの

小久保よしの(こくぼ・よしの)/編集者・ライター

1979年埼玉生まれ。編集プロダクション勤務を経て2003年よりフリーランス。2017年より東京と奈良の2拠点生活をスタート。現在は、雑誌『ソトコト』、ソーシャルニュースサイト「ハフィントンポスト」などで執筆。担当した書籍は『だから、ぼくは農家をスターにする』高橋博之(CCC)、『わたし、解体はじめました ─狩猟女子の暮らしづくり』畠山千春(木楽舎)など。

他の記事を見る

過去記事一覧はこちら