スルッとKANSAIおでかけ情報誌 Asobon!web

社局のお仕事

第9回 御崎車両基地のお仕事

  • 神戸市営地下鉄

通勤、通学、おでかけと日々使う電車にバス。毎日のように使っているけど詳しくは知らない、そんな交通機関の知られざる舞台裏のお仕事をお伝えするこのコーナー。第9回は、神戸市交通局の御崎車両基地のお仕事を紹介します。地下鉄海岸線の御崎公園と和田岬の間にある車両基地。車両基地としては全国でも珍しく地下にあります。厳重に守られたセキュリティロックの入り口を通り、専用エレベーターで地下へ。そんなまさに舞台裏の仕事場について、神戸市交通局 高速鉄道部 地下鉄車両課の係長・末吉豊さんと主任・秋田幸夫さんにお伺いしました。

----御崎車両基地では、主にどんな仕事をされているのでしょうか? 検査が主の業務となりますでしょうか?

末吉さん「電車の検査というのは、いろいろ種類があるんですが(※第1回 塗装のお仕事~阪急電鉄正雀工場編~)、今日は、3ヶ月ごとに行っている月検査を見ていただければと思います。3日かけて1編成の検査を行います」

秋田さん「運転台関係とパンタグラフ関係を目視で点検をします」

2018_0411_0042.jpg左、末吉豊さん。右、秋田幸夫さん。年齢は違うけれども偶然にも同じ誕生日。末吉さん曰く「性格は違いますけどね(笑)」

----なるほど。今日はその仕事が大きなものとしてあるというわけですね。ちなみに、今日は1編成だけですか?

秋田さん「そうですね。海岸線は全部で10編成しかありません。ですので、多くても3ヶ月に1度の検査と、10日に1度の検査で2編成を検査するくらいです」

----もっとあるのかと思っていました。そうすると海岸線の10編成の車両をすべてこちらでメンテナンスなどをされていると。ちなみに、塗装などもこちらで?

末吉さん「塗装などはここでは出来ないんです。御崎の車両基地は御崎公園の真下にありまして、電車を止めておくための留置線のほかに、定期検査場、検車場、臨時検査・転削場などと呼ばれる場所があります。保守関係の作業基地、変電所などもあり、鉄道の車両基地として保守関係の設備までが地下にあるというのは、全国的に見てもかなり珍しい車庫となっています」

2018_0411_0574.jpg御崎車両基地は、この公園の地下にある。大きさもほぼこの公園と同じで、地下約12メートルの深さ。

----ということは、そういったものは地上にあることが多いということでしょうか?

末吉さん「一般的な車庫というのは地上にありますよね。地上を開削して、建物を建てて見かけ上は地下に見えるのですが、一部地下というような、つまり、上から見て見るとその地下階が見えるような作りになっている車庫もあります。ですが、御崎車両基地は、完全に地下にあり、上から見ても何も見えない。そういったところで大きな検査までやっているのは、私の知る限りでは全国で3箇所だと思います」

----残りの2つはどこにあるのですか?

末吉さん「京都市交通局さんの醍醐車庫と東京都交通局さんに1箇所だと思います。珍しいこと繋がりでいうと、普通、電車はモーターが車輪を回転させて走るんですが、こちらはリニアモーター駆動を採用しておりまして、それが少し珍しいことかと思います。関西のほか地域では、Osaka Metroさんの長堀鶴見緑地線と今里筋線。レールとレールの間に、金属のプレートがついているのがリニアモーター駆動の特徴です」

2018_0411_0133.jpg新しい車輪。車体が小さいこともあり、車輪も小さくなっている。

----ということは、そのリニアモーターも点検されるわけですね?

末吉さん「そうですね。電車の方にコイルがあり、線路の方には、リアクションプレートがあるんですが、その隙間が少ない方が効率がいいんですね。でも、小さすぎて走行中に当たってしまうと困りますので、基準値があるんですが、その基準値を管理して行くということもリニア独特の仕事になります。メリットとしては、車輪を回転させて走るなかで、鉄と鉄なので雨振りの場合など加速をかけるときにスリップしてしまう可能性があるんですが、リニアは回転させるのではなく、車両を引っ張るようなイメージで走りますので、雨降り、急勾配に強いと言われています」

2018_0411_0155.jpg中央の最下部にあるのがリニアモーター。このリニアモーターとリアクションプレートとの間に最低12ミリの隙間を設ける規定になっている。

----なるほど。リニアというのは、そういう特性があるんですね。それでは、10編成あると伺っていた車両は、点検以外のときは全車、本線で運行しているんでしょうか?

末吉さん「そんなことはないんです。朝のピークの時間帯で7編成運行していまして、残りは検査で止まっていたり、故障したときの代替え車として待機していたりしますね」

秋田さん「お昼の時間帯は、お客さんが少ないのでだいたい4編成が走っているという状態です」

2018_0411_0185.jpg車両基地には、検査によって決められた場所で行うようになっているため、場所によって少しずつ設備が異なる。こちらは、定期検査場内にある床下気吹室。エアでホコリなどの汚れをとる。

----その車両関係を見られている方々は、何名ぐらいで?

末吉さん「ここで、車両関係で15名です」

----意外に少人数なんですね!

末吉さん「はい。そうですね」

秋田さん「その15名で、10日間の検査と3ヶ月の検査を担当しています。4年、8年という大きな検査をする際には、外部の方に来ていただいて、やっています」

2018_0411_0228.jpg後ろに見える車両がちょうど、月検査の1日目に当たる車両。場所もこちらで行う。

2018_0411_0462.jpg作業中に感電などを防ぐため、黄色や赤のタグを使って切られていることを確認。自分の身を守る現場のアイデア。

2018_0411_0536.jpg3ヶ月点検の最初は、こちらの運転台を確認するところから。異常などがあると、コンピュータから運転台のモニターに知らせが入る。

----地下にあるということは、新車両など大きな搬入の際は、どうされるのでしょう?

末吉さん「クレーンで下ろすのですが、専用の建屋がありまして、そこにある開口部から下ろすということになっています」

----その開口部は、昔のロボットアニメのようなスライドで開いたり、そういう構造になっているんでしょうか?

末吉さん「閉まってはいるんですが、想像されているような形ではありません(笑)」

2018_0411_0125.jpg

2018_0411_0561.jpgこれが、クレーンで吊って車両を入れる搬入口。(写真上)下から見上げた図。(写真下)上から見下ろした図。ちょうど、写真手前にあるのが、新しく納品されたクーラー。

----最近ではどんなものをここから搬入されたのでしょうか?

秋田さん「開業時に10編成まとめて下ろしましたので、それ以来車両を下ろしたことはないんです。ですが、レールなど大きなものを搬入する際はここを使います。先日、車両に取り付ける新しいクーラーもここから下ろしました」

----話は変わりますが、日々の仕事の流れというのはおおよそ決まっているのでしょうか?

末吉さん「だいたい決まっていますね。朝9時にミーティングをしまして、地下におります。その後、電車の検査ですね。10日1回の検査と、3ヶ月に1回の検査。そして、車内の清掃も行います。外板を手洗いして。故障が見つかると修理をしたり、そのほかいろんな設備の点検や修理を行って1日の作業が終わります。その後2人は残って泊まり勤務に入ります。その2人は、本線で営業中の車両が故障した場合なんかの対応であったり、終電近くなりますと入庫してくる車両がありますので、その信号の操作をして、終電から始発までは、こちらで仮眠を取ります。朝、始発を走らせて9時までいて、ミーティングで引き継ぎをして帰ります」

2018_0411_0391.jpg電車の下についているボックスを空けると、配線やまるでサーバのようなものが多数。点検では、こういった機械関係の故障なども確認する。

2018_0411_0284.jpg外板の清掃は、手作業で。機械での清掃では落ちない汚れが人の手によるとやはり綺麗に落ちていく。1日1車両をするのではなく、左側だけを重点的にやる日、右側をとパーツに分けて清掃するのが、神戸市交通局流。

----職員の15名の方はどういった職歴なのでしょうか?

末吉さん「私はずっと車両一筋で、25年やって来ております」

秋田さん「私も車両で入ってきまして、一時、開発、車庫の設計をやっていましたが、また車両に戻ってきまして、30年を超えています」

末吉さん「ほかにも、ずっと車両のことをやってきた方もいらっしゃいますし、神戸市の電気と機械の方から異動でこられるかたもいらっしゃったりします」

----年齢もさまざま何でしょうか?

秋田さん「高齢化してきていますね(笑)」

----ずっとこちらで働かれていかがでしょうか?

末吉さん「電車がもともと好きでしたので、楽しくやってきましたね(笑)。もともと別の基地に配属されまして、電車に触れる毎日で、途中、部品を発注するような仕事も担い、数年前に係長職ということで、この御崎車両基地に来たんですが、車両に直接触れるような仕事とは離れましたので、少し寂しい気持ちもあります」

2018_0411_0326.jpg入局時に支給されるという七つ道具。新人とベテランを見分ける方法は、服の汚れだそう。なれない頃は、作業服が油まみれになるそうだが、なれてくると汚れないのだとか。

----現場はやはり楽しいわけですね:秋田さんはどうでしょう?

秋田さん「私も車両の要員として採用になり、楽しくやってきましたが、なにより、この車庫を造るということに携われたのは、良かったです。その中の一部を設計できたのは本当に良かったと思います」

----具体的にいうと、どの部分を設計されたんでしょうか?

秋田さん「私が、やったのは検査設備関係でして、ピットで検査するときに回りに足場があったりですとか、ピット設備とかですね。洗車機も私が担当しました。電車の形状に合わせて、ブラシをどれにするのかとか、一番苦労したのは、大きいものですので、どうやってここに入れようかということでした。建設当時は車両搬入口が、今のようなきっちりとした形ではないので、どこから入れて、どの様に組み立てるのかですね」

----それは結局どの様にして搬入されたんですか?

秋田さん「分割式にして搬入しました。搬入してから現場で2段に組んでと。そういう形でやりました」

2018_0411_0548.jpg

----最後に、日ごろこの仕事をしていて癖づいていることなどあれば、教えてください。

秋田さん「ジェットコースターに乗るでしょ。そういうときに気になるのが、音なんです(笑)。どこか調子悪いんじゃないかとか、そういうのが気になりますね。ほかの電車に乗っても音が非常に気になります」

末吉さん「目視点検ではないですが、電車に乗ったときに思わずキョロキョロ車内を見てしまいますね(笑)」

一同 笑

2018_0411_0511.jpg車両基地用に作った、駅の看板。実際はない駅なので、見られるのはここだけ。

2018_0411_0498.jpg

神戸市交通局
http://www.city.kobe.lg.jp/life/access/transport/