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社局のお仕事

第8回 おもてなしコンシェルジュのお仕事

  • 京都市営バス

通勤、通学、おでかけと日々使う電車にバス。毎日のように使っているけど詳しくは知らない、そんな交通機関の知られざる舞台裏のお仕事をお伝えするこのコーナー。第8回は、京都の玄関口・京都駅のバスターミナル前でバスの乗り方や、目的地までの行き方を教える京都市バス"おもてなしコンシェルジュ"と呼ばれる方々のお仕事を紹介します。彼らの活動は地道ですが、玄関口を明るく照らし、京都のファーストインプレッションの向上に、重要な役割を担っていると、仕事ぶりを見て感じさせられました。そんなおもてなしコンシェルジュのみなさん、そして、京都市交通局の自動車部運輸課 担当係長の萱島慎一郎さん(以下:萱島さん)にお話をお聞きしました。

----おもてなしコンシェルジュという仕事ですが、まずは基本的にどういったことを行うのか教えてください?

萱島さん「主にバスの乗り場や目的地へのルートなど京都市バスをはじめとする交通案内を行います。2年半前にはじまった取り組みで、当初は年間80日の活動ということで、観光客の方々が多く来られる春秋を中心とした繁忙期のみを想定していました。ですが、好評ということもあり、平成29年度には160日に増やし、平成30年度はさらに17日程度増やしています」

----バスは電車と違って、その土地でルールが違ったり、ルートを把握するのも乗り馴れていないとなかなか難しいところがありますよね。

萱島さん「そうですね。京都は、バス路線がきめ細やかに張り巡らされた街ですが、外国に来てバスに乗るというのは、非常に不安な要素が多いと思います。ハードルも高い中、コンシェルジュに聞いてもらうことで安心して乗車いただけるように、というのと、せっかく来ていただいて、嫌な気持ちにはなって欲しくないですよね。だから、やはり人の力というのは、必要なのではないかなと思っています。困った時はアナログな情報が重要だと思っています」

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活動範囲となるのは、主にこのバスターミナルの中でも案内版の付近と、タクシー乗り場。ちなみに、京都駅以外にも祇園、北野天満宮などのバス停でも同じようにコンシェルジュがいるときもある。

----なるほど。このコンシェルジュというのは、どういう経緯で誕生したのでしょうか?

萱島さん「今回、この事業をやるにあたり、プロポーザルをさせていただいたのですが、その提案の中に『京都は学生の街であり、だからこそ、学生さんの力を活用して』という案をご提案いただいた事業者があり、そちらを選ばせてもらいました。皆さん語学が堪能な学生さんです」

----バスの街であり、学生の街というのを、共に活かしたという。

萱島さん「さらに、最近は京都市内をスムーズに移動し快適に観光をしていただく観点から、大きな荷物をお持ちのお客様には、手荷物配送サービスやコインロッカーの案内を行ったり、バスだけではなく電車とバスをうまく組み合わせたルートも積極的に案内してもらっています」

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おもてなしコンシェルジュの制服。京都という土地柄を活かした紫を使用している。

----このコンシェルジュの仕事に関して、最低限のルールなどはありますか?

萱島さん「とにもかくにも“話しかける”ですね。自ら話しかけて、自分がされたら気持ちのいい応対をしてくださいと、お願いしています」

----聞かれたことを答えるのではなく、自ら困りごとを聞き出しに行く。いい意味でのお節介ですね。それでは、コンシェルジュのみなさんにもお聞きしたいのですが、日ごろどういったことをよく聞かれますか?

高島有護さん(以下:高島さん)「僕がよく聞かれるのは、清水寺、三十三間堂への行き方ですね」

角野良尚さん(以下:角野さん)「金閣寺や清水寺のスポットはもちろんなんですが、清水寺から次に行きたい場所への乗り継ぎ方などもよく聞かれます」

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武甕美枝子さん(スタッフ 以下:武甕さん)「ほかにも、竹と(嵐山にある)モンキーパークは人気がありますね(笑)。"バンブー見たい"ってよく言われます」

竹野雛さん(以下:竹野さん)「今の時期で言うと、桜ですね。さきほどタイの方から、桜が見たいということで、案内をしたんですが、最初は清滝方面の神社を指定されていました。でも、桜の方がプライオリティが高かったようで、場所は問わないということで、この時期だとどちらでも満開なので御所はどうかとオススメしました」

----こちらから逆にオススメすることもあるんですね?

ユン・ムドゥンさん(以下:ユンさん)「あくまで個人的な意見ではありますが、オススメすることも多々あります」

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おもてなしコンシェルジュは、6~7名を1グループとして活動。取材日は、平日ということもあり、1グループが朝の込み合う時間帯に活動。コンシェルジュ自体は、京都で学ぶ学生を中心に英語をベースに外国語を話せる100名程度のメンバーで成り立っています。

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4カ国語の観光マップ 地下鉄・バスなび。

----ちなみに、ユンさんのオススメは?

ユンさん「個人的に良かったのは、三十三間堂と太秦広隆寺ですね。特に広隆寺の木造弥勒菩薩半跏像を見られたのがすごく感動です。また、三十三間堂はまだインド仏教の神話のような世界の仏像がたくさんあったりするのが、いいなと」

高島さん「僕の場合は、仁和寺がオススメですね。桜の時期だけにはなるんですが、御室桜(おむろざくら)というのがあり、遅咲きで人と同じくらいの背丈なんですね。だから近距離で、同じ目線で桜を楽しむことができるんです。もともと近くに住んでいたので、よく行く機会がありまして」

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日本に来て4年になるユンさん。日本語、英語、韓国語のトリリンガル。積極的。

----なるほど、ほかには?

竹野さん「高校が紫野高校だったのですが、その近くに今宮神社というのがありまして、馴染みもあるし、よく行っていました。桜も綺麗ですし、もみじも綺麗ですし、あぶりもちもおいしいので、いろいろ行かれて"どこかない?"と聞かれた場合は、よくここをオススメします」

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乗り場やバスの経路がしっかりと頭の中に入っているため、説明もスムース。そして、地図を使った細やかな案内も定評を得ている。

----みなさん、それぞれそういう場所があるんですね。しかも、メジャーな場所でも実感がこもっているので、普通の案内とはまた違った伝わりかたをしますね。

村主瀬成さん(以下:村主さん)「先ほどアメリカからお越しの観光客の方を案内したんですが、銀閣寺に行きたいと仰っていて、普通であれば、100番を案内するんですが、100番は、東山通を通って、清水寺、銀閣寺、祇園、岡崎と主要な観光名所をぐるっと回っているんです。ですので、必然的に混雑が予想されます。だから、今日のように混んでいる日には、少し回り道にはなりますが、別のバスを紹介します。地元が京都なので、混んでいる通りを実際暮らしの中で知っているので、地元ならではな方法で伝えるようにしています」

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英語を母国語とされる外国人の方でも、ひとつの単語で若干ニュアンスが違うことを肌で感じることができるのが、この仕事のおもしろさのひとつと語る村主さん。

----まさに地元の人が地元を伝える、いい流れができていますね。それでは、この仕事をしていて嬉しかったことはどんなことがありますでしょう?

角野さん「中国語を少し勉強したので、それで中国の方や台湾の方に案内させてもらうと、すごく喜んでいただけます。それがやはり一番記憶に残ると言うか、嬉しいところですね」

高島さん「自分の知識を利用して、ちょっと観光案内ができた時は、この仕事のおもしろさを感じるところですね。ほかにも、裏道であったり混んでないルートをお教えできるとおもしろかったりします」

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最短のルートも提示しつつ、混み合っている時間帯には、迂回ルートも案内。その人にあった道順をご提案するのも気配りのひとつ。

村主さん「今まで、いろんなバイトをしてきてどれも自分にはあってなかったように思うんですが、この仕事はとても楽しんでやれているので、それが自分にとって嬉しいことです。ほかにも、やはり案内ということで、丁寧な言葉でお伝えしようと、関西弁、京都弁を使わないようにしていたんです。ところが、ある日、ポロッと出てしまったんですね。そうすると、日本人の方に、"京都弁だ~"という感じで、喜んでもらったことがありました。そこで考えたんですが、違う土地に行って、その土地の言葉を聞くというのも観光の醍醐味の一部で、とても楽しいことだと思います。ですので、失礼にならない、不愉快にならない程度に使うこともひとつのおもてなしだと思って、少し使っていたりします」

----確かに、それはひとつ言えますね。玄関口だからこそ、そこでその土地に着いたという実感を持ってもらうためにも、言葉というのは重要な要素だと思います。

ユンさん「私の場合は、韓国人の観光客の方だったんですが、計画をそれほどたてている状態ではなく、『祇園にも行きたいけど』というような感じでオススメを聞かれて、祇園から清水寺、そして、その周辺で楽しめるところも紹介させてもらったら、後日、facebookでメッセージを送ってきてくれて、"とても楽しい旅行でした"といただいて。それはすごく嬉しかったです」

----これはまた、今の時代を感じるエピソードですね。

角野さん「僕も案内をした方と後日、偶然プライベートな時間に別の場所でばったりと会いまして。カナダからの方だったんですが僕のことを覚えていてくれたのは、とても嬉しかったです」

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おもてなしコンシェルジュの必需品は、タブレット端末の他に、書き込んでお客さんに渡せるように用意したペーパーの地図、ペン、ほかにも時刻表などが1冊に纏められた非売品の資料などがある。

----ビックリしますが、嬉しいエピソード。難しいこともあると思いますが、コミュニケーションが好きであれば、非常にいい仕事ですね。

ユンさん「役に立っている実感がありますから」

----そうですね。今日は平日の割にかなりの観光客の方が来られたのでは?と思います。
今週末は、桜も見頃だと言われていますが、忙しくなりそうですね?

角野さん「はい。でも、元気よく気持ちよくご案内できれば良いなと思います」

----頑張ってください。本日はどうもありがとうございました。

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京都市バス
http://www.city.kyoto.lg.jp/kotsu/page/0000020424.html