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第3回 山下駅センターのお仕事~能勢電鉄編~

社局のお仕事

第3回 山下駅センターのお仕事~能勢電鉄編~

  • 能勢電鉄

通勤、通学、おでかけと日々使う電車にバス。毎日のように使っているけど詳しくは知らない、そんな交通機関の知られざる舞台裏のお仕事をお伝えするこのコーナー。第3回は、遠隔操作で無人駅の対応を行っている能勢電鉄「山下駅のセンターのお仕事」。まさに駅の舞台裏な現場を朝礼から見学してきました。無人だからという甘えなし! 地域に近い電鉄だからこその仕事ぶりがありました。

——おはようございます。今日はよろしくお願いします。さっそくですが朝礼は毎朝この時間に?

野呂統括駅長「そうですね。午前9時にみんなの顔を見て必要事項を連絡します。今日は、比較的連絡事項は少なかったんですが、沿線での行事などがある時期は、そのことを伝えたり、共有することが多くなります」

——朝礼の後はみなさんどんなお仕事を?

野呂統括駅長「各自、担当の仕事を行っていくわけですが、山下駅のこのセンターは、川西能勢口駅以外の全駅のインターホンからの問い合わせを管理していますので、その業務と巡回に向かう担当がおります」

こちらが山下駅センターにある駅務機器遠隔操作システム。上のモニターで全駅のホームや改札を確認しています。

——インターホンからの問い合わせというのは、このモニターなどを使って行うわけですね?

野呂統括駅長「基本的に能勢電鉄は駅が無人化されていまして、平野駅と山下駅以外は、全部無人駅。遠隔制御しているのが、この山下の遠隔センターになります。このモニターの最上段の画面は、能勢電鉄の全駅の様子がスクロールで映し出されています。それぞれの駅にIPカメラが何箇所か設置されていますので、それが順番に表示されるしくみになっています」

——普段、このモニターのどんなところを見られているんですか?

野呂統括駅長「決まってこの場所を重点的にということはないですが、やはり日常と違うところには目がいきますね。例えば、ホームから転落した人がいる、というような場合は、気付いたらすぐにこのセンターから、非常通報ボタンを押すことにより、運転士に知らせて同時に平野駅の運転指令にも届くようになっていて、そこから各列車に連絡が入るという安全対策をとっているんです。この山下駅のセンターは、お客様のお問い合わせに対応するだけではなく、いろんな機能が付随していますね」

——このモニターは、そういう役割も果たしているんですね。このシステムが導入されたのはいつでしょう?

野呂統括駅長「平成3年に導入されました。当時は、平野駅と山下駅の2つの駅にセンターがあったんですが、平成22年に山下駅で一元管理に変わりました」

操作はすべてタッチパネル。能勢電鉄専用にプログラムされお客様のインターホンを受けながらスムースに対応。

——そうなんですね。

野呂統括駅長「かつては、平野駅から絹延橋駅は平野の管轄で、妙見口駅から一の鳥居及び日生中央駅は、山下の管轄だったんです。その頃の名残で今でも巡回係員は二つの系統に分かれて巡回業務を行っています」

——一元化されていても、無理にやり方を変えずに慣れている方を採用したと。ちなみに、このモニターの間にあるホワイトボードはなんでしょう?

野呂統括駅長「巡回係員がどこの駅にいるかを把握するボードです」

——システムに相反して、アナログな感じがしますが…。

こちらが巡回係の現在地を把握するボード。これを元に駅への人員派遣などが必要なとき誰を送るかを決定する。

野呂統括駅長「実はこちらの方が分かりやすいんです。というのも、巡回係員が移動するときは必ず連絡がこちらに入るようになっています。ですから、その連絡を受けて目視でマグネットを動かしてやるほうが、正確に把握できます」

——なるほど。物理的に動かすという作業が確認にもなっていると。マグネットの赤と緑の色分けは何かあるんですか?

筆談案内機では、タッチパネルで書くのはもとより、地図を映したり、その地図に行き順を示したりかなりいろんなことができます。

そして、案内してもらった場所までの地図ももちろん出力可。他にもタクシー会社の電話番号など良く質問されることは、準備済み。

野呂統括駅長「平野方面の巡回係員が赤なんですよ。今、滝山駅にいるので赤のマグネットで示されています。緑が山下方面の巡回係員のいる駅を示しています。黄色のマグネットはフリーで動く係員の場所を示しています。」

——問い合わせというのは、どんな内容が多いですか?

佐藤さん「きっぷを通すところに、ICカードを通してしまった、きっぷの買い方が分からないなどが多いと思います」

——ほかにも電車と直接関係のない問い合わせもありますか?

佐藤さん「オススメのごはん屋さんはどこですかという問い合わせもありますよ(笑)」

——あるんですか(笑)! なんてお答えするんでしょう?

佐藤さん「お答えする店は用意しているので、そこをお伝えします」

——それも準備されているんですね。驚きです。

佐藤さん「ちょっと遠いんですが、山下駅と畦野駅の間ぐらいにおいしいおうどん屋さんがあるんで、そちらを」

野呂統括駅長「カレーうどんがおいしいですね(笑)」

一同 笑

お客さんの対応はベテランの佐藤さんと女性スタッフ1名が常にモニタリング。忙しくなると4名で対応にあたる。
電車の利用に関わることだけではなく、周辺案内まで準備する心遣いが◎。

——モニター前には2つ席がありますが、おふたりですべて対応されるんでしょうか?

野呂統括駅長「基本は2人で対応していますが、受話器は4台ついてますので最大4人まで対応できます」

——かなり便利に設計されていますね。

野呂統括駅長「平成3年に導入されたシステムと、現行のシステムを比較しますと現行のシステムの方が、タッチパネルの精度が格段に良くなっていると思います。画像の鮮明さもそうですが、今のカメラはIPカメラを使っていまして自由に遠隔で方向をかえられるのですが、以前のものは固定で、白黒のブラウン管テレビでした」

——随分やりやすくなったんではないですか?

佐藤さん「そうですね。随分快適に仕事ができるようになりました」

ちなみにこちらは信号が自動で制御できなくなった時に係員が手動で取り扱う機器。
滅多には使わないそうだが、異常発生時に備えて、係員は定期的に取り扱い訓練を行っています。

——全国的に見てもこの充実した環境は少ないのでは?

野呂統括駅長「少ないのかも知れません。同業他社さんも視察にいらっしゃることがあり、JR東日本さんもいらっしゃったことがあります」

巡回ではこういった駅に設置されているポスターの張り替えも大事な駅業務。

きっぷの回収も行います。このほかにもホームの点検、誘導タイルがはがれていないかなどのチェックや、トイレットペーパーの有無、トイレ点検などを一通り。

——ちなみに、問い合わせの業務をされていて、仕事の楽しさといのはどういうところで感じられたりしますか?

佐藤さん「やっぱり、お話をするのが仕事ですので「ありがとう」と言ってもらえると嬉しいですね。先ほどお話しした、オススメのお店を聞いてこられたお客様に、お店を案内して、「行ってみるわ」と行かれて、その帰りに「良かったよ」とまたインターホンを使って伝えて頂けたことはとても嬉しい気持ちになりました」

——わざわざそういってくれるのは嬉しいですね。

佐藤さん「そうなんです。必要があるかないかと言えば、そういう必要はないんですがわざわざ寄ってくださるというのは、当たり前に嬉しいですよね」

乗務員に合図する野呂統括駅長。入社して始めは駅、車掌、運転士として勤務。
その後、ベーカリー部門があり、製造・販売を担当していた時期もありました。

——野呂さんはどんなところが。

野呂統括駅長「遠隔操作はやはり機械的なシステムになりますが、そこにいかに人間の良さ・あたたかみを介在させることができるかだと思います。また、この遠隔システムというのは、沿線のお客様のご理解ご協力があるからこそ成り立っていると思います。本音を言えば、お客様は全駅有人での対応を望まれていると思うのですが、それにはなかなか当社の現状から判断しますと、非常に難しい。だからこそ、対面で話ができない分、どういうことができるのかということを考え続けることが大事であると思っています」

——機械的に合理化ということではなく、むしろ人間味を出していこうということでしょうか。

野呂統括駅長「私の場合、なかなか現場に出るときが少ないのですが、それでもレールウェイフェスティバルなどで、ずっときてくれる沿線の男の子が私に声をかけてくれて毎年成長する姿を見せてくれたり、直接業務とは関係ありませんが、そういうところでのお客様との繋がりはとても大事に思っています」

——なるほど。ローカルな電鉄だけにたとえ、無人だったとしても顔なじみの距離感に似た信頼関係がある、というのが垣間見えたような気がします。今日はありがとうございました。

能勢らしく里山の風景を描いた遮光幕。そのほか、これまでの車両の写真を展示したギャラリーもあり。

社員のみなさんが持っている能勢電鉄の歴史などがまとめられたハンドブック。年度始めに配られるそう。
パートも含めて、129名です。コンビニもあるなど多岐の内容。

終点の妙見口駅。ハイキングシーズンはたくさんの人が乗降する。
最終電車乗務員のために宿泊所があり、野呂統括駅長曰く「夜は虫の声しかしなくて静かで良いです。自然の中という感じがとても」。

能勢電鉄
http://noseden.hankyu.co.jp

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