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社局のお仕事

第15回 水間鉄道 水間観音駅リニューアルと事業企画部のお仕事

  • 水間鉄道

通勤、通学、おでかけと日々使う電車にバス。毎日のように使っているけど詳しくは知らない、そんな交通機関の知られざる舞台裏のお仕事をお伝えするこのコーナー。第15回は、先ごろ大阪・貝塚市の観光名所でもある水間寺の最寄り駅、水間観音駅を苔玉の駅としてリニューアルした水間鉄道。そのリニューアルを中心に鉄道部の谷本さんと事業企画部の西田さんにお話を伺います。

----水間観音駅をリニューアルされたとのことで、今日はお伺いしました。モチーフが苔玉ということですが、なぜ苔玉だったのでしょうか?

谷本さん「苔玉が、水間鉄道とつながりのあるものかと申しますと、実はそうではありませんでした。でも、それ以上に"これまでにないものをやろう"という意気込みが一番強くありました。」

----これまでにないもので苔玉になったと。

谷本さん「そうです。この苔玉というアイデアは、現在の社長から提案があったもので、社内からほかには、奥水間には温泉もありますので、足湯等はどうか、ということも話し合いましたが、それは他の会社さんもされていましたし、なによりもインパクトがあるもの、ということで。苔玉と言いますと、少し地味な印象を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、そこは2メートルの苔玉という、あまり見たことのないサイズ感で、目を向けてもらおうと。そして、苔玉の駅として、楽しんでもらえたらと考えて。」

2018_1225_0301.jpg水間観音駅。国の登録有形文化財にも指定されているだけあって、趣ある佇まい。そこに巨大ながらも早くも馴染みを感じさせる直径2メートルの苔玉が鎮座。ちなみに、ホームにも2つあり、計3つ今回のリニューアルで設置された。

----なるほど。確かに苔玉と聞いたりするだけでは、ピンとこないところありますが、実際あの巨大な実物を見ると、迫力あります。また、それと同時に古い駅舎に馴染んでいて、雰囲気もいいですね。ちなみに、この駅のリニューアルは、どのくらい前に出てきた話なのでしょうか?

谷本さん「1年も経ってない頃の話かと思います。」

西田さん「現在、水間鉄道をご利用くださっているお客様のみならず、それ以外の方々にインパクトのある情報を届けることを考えて。水間観音駅のみの話ではなかったのですが、まずは水間鉄道の主要駅の水間観音駅でどういったことができるのかを、やってみようと。」

谷本さん「会社自体もそれほど大きくありませんので、このプロジェクトは全社をあげてみんなで取り組んでいこうとやっております。」

2018_1225_0097.jpg左から西田さん、谷本さん。駅の中にある休憩室にて。

----さきほどアイデアは社長からのアイデアとおっしゃっていましたが。

西田さん「そうなんです。非常にアイデアが豊富で。」

----苔玉の駅にしようと決まり、その後どんなことをされたのでしょうか? 苔玉を作れる会社との取引は、仕事柄なかったのでは?と思うのですが。

西田さん「確かに鉄道事業の会社ですのでそういった会社との取引はありませんでした。そこで、社長とお付き合いのある会社さんを紹介してもらい相談しました。そうしたところ、やってみましょうと言っていただける会社が出てきましたので、プロジェクトが進行していったという流れです。それが、天王寺にある赤松種苗という会社でした。」

2018_1225_0391.jpg2メートルのもの以外にも、あしもとに大きめの苔玉も多数。とにかく駅が苔づくし。

谷本さん「出来上がってから聞いた話なのですが、2メートルの苔玉というのは作ったことがなかったということで、最初はできるか不安だったそうです(笑)。」

----笑 できてよかったですね。もともとあれくらい大きなものを作ろうというのも決まっていたのですね。

谷本さん「そうですね。車内から見てインパクトのあるものを作ろうと考えていましたので、そういうことは初めからありました。」

----大きさもさることながら、駅に飾られている数も多いですね。

谷本さん「現在、1,000個あります。」

2018_1225_0333.jpg一般的な苔玉がこちらのサイズ。駅の横の休憩スペースでは苔玉を創るワークショップも開催。一人1,500円。詳しくは、駅へお問い合わせを。

----1,000個! それは世話も大変そうですね。

谷本さん「笑。確かにそうですね。数についてはもともとなかったのですが、駅を埋め尽くそうと思うとそれくらいいるだろうという話になり。それで、この数になりました。これを実際に育てていくということも大事なのですが、この情景をどう伝えて、育んでいくかについても課題だと思いますので、なんとか、愛される駅として広めていければと思っています。」

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2018_1225_0289.jpg式典ではNHK大河ドラマ「武蔵」や講談社「バガボンド」「ジパング」などの題字でも有名な書家・吉川壽一さんのパフォーマンスも。ちなみに、書かれた文字は、「宙(そら)の心」に「丸の心」。

----苔玉と聞くと少し地味な印象もありますが、可愛らしい雰囲気も伝わってきます。ちなみに、おふたりは部署も役職も違うようですが、普段はどのような仕事を?

谷本さん「私は鉄道部で乗務員、駅で働く社員などを統括しています。鉄道に関して一番大事な安全面を担うような部署でして、管理者という立場におります。今回のプロジェクトでいうと、お客様の安全がきちんと保たれているのかという面も気にしながら、取り組んでおりました。」

----鉄道部はもう長いのでしょうか?

谷本さん「いえいえ、私はまだ2年目で(笑)。それまでは大阪市交通局(現Osaka Metro)におりました。」

----転職されてこられた?

谷本さん「はい。水間鉄道では、新米なんです(笑)。」

----西田さんは?

西田さん「私は生え抜きでして(笑)。」

----水間鉄道一筋! 何年目になるのでしょうか?

西田さん「昭和63年入社でして、31年目になります。」

----いかがですか、31年働かれてきて。

西田さん「水間鉄道の近隣に住んでおりましが、あまりにも当たり前にありすぎたのか、鉄道のことを好きかどうかという感覚がわからず。鉄道ファンではなかったのですが、新卒から縁があり、今まで働かせていただいています。最初は、車掌から運転士をしており、その後、事務職を経て現在に至るという流れで。」

2018_1225_0172.jpg水間観音駅横にある水間鉄道の車庫。こちらで4編成あるすべての点検や整備を行っている。また、平成30年12月には車庫を解放し「笑電祭」と呼ばれる鉄道イベントを初めて開催。また、コスプレイヤーにも人気のスポット。

----事業企画部には、いつ頃から?

西田さん「事業企画部は、新しい部署でして、それまでは運輸部の中に鉄道と自動車に分かれておったのですが、鉄道と自動車を運輸部の中から区分けしました。そのときに私も運輸部の中で、さまざまな仕事を行うという立場ではなく、新設された部署で新たな仕事に取り組むというそういう形になりました。それが約2年前になります。」

----今回のプロジェクトも一つかと思いますが、新設されてからどんなお仕事を?

西田さん「これまでもグッズは作っていたのですが、新しく水間鉄道の鉄道むすめのキャラクターもでき、そのキャラクターを使ったグッズも販売するために、他社のイベントにも積極的に参加するようになりました。販売という目的もありましたが、ほかにも鉄道会社さんとの横のつながりを作るということも新設されてからの目標になっています。」

----結構、このグッズは売れるんじゃないですか?

西田さん「はい。正直に申し上げますと、これまでオリジナルグッズは全然売れなかったんです。でも、このグッズは、非常によく売れます。これまででいうと、ガチャガチャがよく売れるくらいのもので、ほかにグッズを作っても全然ダメでした。」

P1074083.jpg水間鉄道の鉄道むすめ・水間みつまのパスケース(700円)のほか、水間鉄道オリジナルバッジ(400円)、水茄子CURRY(500円)のほか、水間みつまのレプリカ版ヘッドマーク(4,000円)などもあり。

谷本さん「ほかにも新しくなってからの仕事というと、私たちの名刺にも書いてあるのですが、青森の弘南鉄道とのコラボが西田と私が一緒にやった仕事です。」

----青森の会社とのコラボ? もう少し具体的に教えてください。

谷本さん「全然環境も違う中で、たまたま東京の東急電鉄で活躍していた7000系という同じ車両を使っている会社同士というところで、弘南鉄道の方が大阪に講演に来られていた時に、挨拶に伺ったんです。そこから付き合いが始まりまして、何かできないかと、そんなことを考えて、弘南鉄道の車両を水間鉄道の路線で走らせるということをやってみようと。弘南鉄道では水間鉄道の車両が走っているんです。ほかにもイベントで青森市の名産品の販売や青森の車内広告をこちらで掲出してみるなど、いろいろやってみました。」

----それはおもしろい試みですね。

谷本さん「走り初めの頃には、たくさんの鉄道ファンの方が来られました。」

西田さん「それまで水間鉄道で撮影会はやったことがなかったのですが、この頃から行うことになりまして、ちょこちょこ開催させていただいております。」

2018_1225_0145.jpg青森の弘南鉄道と同じカラーリングをした車両がこちら。元東急電鉄の車両というという共通点から、コラボが実現。4編成中2編成がこの塗装。ロゴもきちんと弘南鉄道のものが使用されている。

谷本さん「こういった営業面でのコラボレーションのほかにも今では、技術的な付き合いも始まりまして、水間鉄道が所有する修理用部品の交換や提供といったことも今では行う関係性が出来てきております。」

西田さん「部品自体を作るのにもコストがやはりかかってくる話です。そこを互いにカバーしながら出来ているのは、非常にありがたいことだと思います。」

----でも、初めお声がけされた時はびっくりされたのではないですか?

谷本さん「後から聞いた話なのですが、気にしていただいていたようです。」

----相思相愛じゃないですか。このコラボといい、グッズといい、谷本さんの積極的な動きもありますし、西田さんの活躍も大きいですね。

西田さん「いや〜、僕の方はそんなことはないです(笑)。」

谷本さん「水間鉄道の名前というのは、南大阪ではある程度覚えていただいているかと思いますが、以前出た大阪市内のイベントでは、全然知名度がありませんでした。ですので、とにかく鉄道会社の名前、どこを走っているのかを覚えてもらいたくて、5.5キロという短い区間を走っている電車というのを覚えてもらおうという意味で、"電動アシスト付き自転車がライバル"というのをテレビで申し上げたところ、それで覚えていただいた方がおられるというのを最近はよく耳にします。ありがたいです。」

西田さん「それでいいますと、最近はヘッドマークについても触れていただけることが増えました。」

2018_1225_0281.jpgこちら2018年12月に開催された笑電祭用のヘッドマーク。ちなみに、水間鉄道ではオリジナルのヘッドマークを作って走ってもらえるサービスを実施中。料金は、10,800円。人気で数ヶ月先まで予約が埋まっているそうだが、興味のある方は、こちらをご確認ください。

----なるほど。

西田さん「ほかにも、後部車両を貸し切りで、以前にインドネシアの方々が自転車を乗せて観光されるということで、そういった普段とは違った貸し切りの場面も経験できて、とても良かったと思っています。実際、車両にはぎゅうぎゅうに自転車と人が乗ったわけですが、かなりの台数が乗りました。今後どのような形で活かせるかはこれから考えていくことですが、なにかいい方向に持っていければと思っています。」

谷本さん「今回の水間観音駅の苔玉のアイデアは社長からのものでしたが、これに私たち社員も続いて、新たなアイデアを出して、水間鉄道のアイデアおもしろいよねとか、あの駅行ってみようというような声が聞こえてくるように頑張っていかないとと思います。」

----そうですね。今後の展開も楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました。

水間鉄道
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