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第4回 飼育員のお仕事~南海電鉄 みさき公園編~

社局のお仕事

第4回 飼育員のお仕事~南海電鉄 みさき公園編~

  • 南海電車

通勤、通学、おでかけと日々使う電車にバス。毎日のように使っているけど詳しくは知らない、そんな交通機関の知られざる舞台裏のお仕事をお伝えするこのコーナー。第4回は、なんと! 舞台裏のそのまた奥、南海電鉄が運営するみさき公園の飼育員のお仕事です。南海電鉄創業70周年記念事業として1957年4月1日に開業。今年は、その60周年にあたる記念イヤー。全国的に鉄道会社が運営する動物園やテーマパークの閉園が続く中、まだまだ子どもたちに夢を与え続けるみさき公園は、とにかく元気。若くてフレッシュな飼育員さんの仕事について伺いました。

——今日はよろしくお願いします。さっそくですが、今日はどんなお仕事をされるのでしょうか?

渡辺遥香さん(以下:渡辺さん)「基本的に流れは、開園日、休園日ともに変わらずで、朝の朝礼の後は、餌の準備をして餌をトラックに乗せて餌やりに行きます。餌やりが終わったら、午後と翌朝の餌の準備をして、その後、もう一度、担当のエリアの見回りをし、何事もなければ昼食をとって、午後の餌やりなどですね」

——なるほど。ちなみに、担当されている動物は決まっているのでしょうか?

渡辺さん「はい、そうです。私の担当は、プレーリードック、ヤマアラシ、トビ、ショウジョウトキ、オカメインコです。今日は、ラマを担当している人がお休みなので、ラマのお世話も行います」

8時30分の朝礼後餌を車に積み込み各担当の小屋まで順番に運びます。
ちなみに、みさき公園は、女性スタッフが多いそう。重い餌も手分けしてみんなで運びます。

飛び回るオカメインコの生存確認をする渡辺さん。
撮影スタッフが小屋に入ったところ、いつもと違う雰囲気に端にかたまり、すっかり警戒されてしまった。

——みさき公園で働かれてどのくらいになるんでしょうか?

渡辺さん「2年半を少し超えたくらいですね」

——どういうきっかけで、飼育員に?

渡辺さん「もともと動物が好きで小さい頃からみさき公園に連れてきてもらっていたり、いろんな動物を飼っていたりしたので、動物に対して親近感を持っていました。なので、漠然と将来の夢を考えていた頃、動物に関わる仕事がしたいと考えていまして、高校生になって実際自分がアルバイトをするようになり、自分の好きなことを職業にして生活をしたい、と思うようになりました。そうして、動物園で働きたいと具体的に思うようになりました。その後、動物飼育を教えてくれる専門学校に通っている間に、インターンシップでみさき公園に来たところ、ちょうどみさき公園の飼育員の募集がかかったんです。まだ、1年生の途中だったのですが、学校を辞めてでも働きたいと応募をして、こちらで働くことになりました」

——では、今は夢が叶ったということですね。

渡辺さん「そうですね(笑)。好きで就いた職業なので、夢中になって時間があっという間に過ぎていきます。覚えることもたくさんありますが、とにかく、今の仕事に夢中ですね」

獣舎の中を掃除した後、動物たちの様子を見るために住処の外へと出てくるように促します。
そこで、歩き方や餌の食べ方などそれぞれ細かく確認。

——まさに天職ですね。

渡辺さん「みさき公園のスタッフは、好きでやっているひとばっかりだと思います(笑)」

——飼育のスタッフは何名いらっしゃるんですか?

渡辺さん「12名で動物園内全体を見ています」

——まだ、短い間しかお仕事ぶりを拝見していませんが、非常に仲がいいですよね?

渡辺さん「そうですね(笑)。いいですよね?(先輩に向かって)」

先輩「……いい、いい(笑)」

渡辺さん「私が思っているだけですかね(笑)」

仕事前に事務所にて記念撮影。至ってシンプルな部屋だが、流石飼育員の部屋、さまざまな小動物の骨格標本が無造作に飾られていた。
スタッフは写真からも想像できるように和気あいあいとした雰囲気。

各担当の基本的な餌作りは、厨房に貼られた分量を元に体調に応じて調整。投薬する際は、個体によって何かに混ぜるのがいいのか、それとも薬だけの方がいいのか、好みが分かれるため、担当の日々の観察が重要になるそう。

とにかく長い包丁でザクザク切って餌を用意。馬肉などは、なるべく細かく、というのもミミズを主に食べるショウジョウトキなどは、普段食べない肉の場合、消化器官に負担がかかるそういったことを踏まえて、餌の準備は行うそう。

——笑 ところで、基本的に動物が好きだと思うのですが、その中でも特に好きな動物っていますか?

渡辺さん「小さい頃から身近に動物がいたというのもあって、触れられる動物が好きです。いつからか、というのは自分でも定かではないんですが、働いていてネズミ系の動物が好きというのに気付きました。モルモットを家で飼っていて、可愛いなと思いますし」

自分の担当が終わったら、別の担当の人のエリアにヘルプに入るのも大事な仕事。
この日は、カンガルーエリアの掃除と情報共有も。

——ネズミ系。あまりなつくイメージありませんが、どういうところが可愛いと?

渡辺さん「そうですね。まずは口元が可愛いですね(笑)。後は、ごはんを食べるとき、小刻みに咀嚼する姿も可愛らしいです」

——笑 そういう姿を眺めているのですか?

渡辺さん「基本、眺めているのが好きですね」

——でも、小さい動物なのでよっぽど見ていないと、違いとか分からないですよね。

渡辺さん「弱い動物は病気を隠しがちとよくいわれるんです。本当に死ぬギリギリ間際まで元気な様子で、いつものようにごはんも食べるし動きも普通で、でもある日突然嘘がつけないくらいにガクッと、なってしまうことがあるので」

——それでよく見られると?

渡辺さん「元気な状態を見ておいて、その様子とちょっとでも違うところがあれば、おかしいなというのに気が付いてあげられることが大事かなと思います」

獣舎の角を上って天井から落ちるという行動を繰り返し、足を引きずる行動で骨を痛めたことが発覚。
そして、治療に専念しリハビリを行うプレーリードック。現在は、ほぼ完治しているとのこと。

——普段と違うということは、どんな状態が本当の元気かを分かっていないと無理ですね。

渡辺さん「朝起きてくる順番が違う、朝ごはんをどれから食べるのか、という違いもあります。些細なことですけれど」

——そういうことを注意深く日々見ると。

渡辺さん「普段は違うものから食べるのに、連日、好物から手をつけるのであれば、できる限りそれしか食べたくないということが分かったり。つまりそれって、そんなに食欲がない。食べられない状態で」

——それは、本当に注意深く見ていないと分からなそうです。その違いがでると言うのは、ある程度習性のようなものがあるということでしょうか?

渡辺さん「ありますね。毎日、同じようにお世話をすると同じような行動をとります。それが取れなかったときは、やっぱり異常をきたしているなって気が付けるポイントです。でも、私もまだ3年目なので、経験値がたりないところがあり、気が付くのが遅れてしまうこともあります。だから、余計に注意を払って見ていかないと、と思っています。些細な違いに気が付かないと、命に関わりますから」

——飼育員はそういう動物と向き合う仕事に特化されているのでしょうか?

渡辺さん「みさき公園では、掲示物を作ったり、獣舎のペンキの塗り直しだとか、大きな作業になると丸太を交換したりもします。動物のお世話をするだけではなく、土木系の仕事のほかにもいろんな仕事をしています。それが、私の場合充実に繋がっていますね」

取材日は、休園日ということもあり開園日のためになるほどパネルを用意。
渡辺さん曰く「近くで見ないと分からないことを説明過多になり過ぎない程度に解説しています」

——それも先ほど言われていた、毎日、ルーティーンじゃないということですね。とは言え、本分はやはり飼育になると思うのですが、この先飼育を担当してみたい動物はいますか?

渡辺さん「やはりネズミ系が好きなんで、げっ歯目の動物ですかね(笑)。そうでなくてもいろんな動物を経験することで自分の視野も広がるので、これでないとという気持ちはないですね。今はまだ自分の中で可愛さを見つけられていない動物も、担当してみることで変わることがあると思うので。何でもやってみたいなと思います」

動物に一番接する飼育員が、外の菌などを持ち込まないようにするため園のユニフォームは、園内で洗濯。
これも飼育員の仕事のひとつ。

——ちなみに、飼育員になるのは何か資格が必要なのでしょうか?

渡辺さん「特別、就職する際に必要な資格というのはないんです。でも、実務経験を積んで受けられる資格試験(※1)というのが、あります。2年以上働いたら受けられる試験があって、動物飼育技師という資格になります」

——それはどのようなことが認められるのでしょうか?

渡辺さん「飼育員としてのスキルが認められるといったところでしょうか。資格がないと働けないということではありませんが、実務経験を経て試験に合格していると信頼できる飼育員ということではないかなと」

——なるほど。では、最後にみさき公園の良いところをあげるとするとどういうところでしょうか?

渡辺さん「展示的な形で言えば、柵が少ないのが特長ですね。シマウマとかキリンのところを見て頂くと柵が少ないので抜けたような姿で見ることができます。写真も撮りやすいですよ。あと、やっぱりスタッフの仲がいいところですね(笑)」

※1飼育技師資格認定試験
動物園や水族館などの飼育係の実務能力を試す認定試験。資格は動物飼育技師と水族飼育技師がある。受験資格は、社団法人日本動物園水族館協会に加盟している動物園・水族館で2年以上飼育に従事している人。試験は選択記述方式の学科試験。問題は飼育技師認定試験問題集から出題される。


みさき公園
南海電車 みさき公園駅下車すぐ
住所 大阪府泉南郡岬町淡輪3990
電話 072-492-1005(9:00〜17:00)
営業時間 9:30〜17:00
定休日 公式HPの営業日カレンダーをご覧ください
http://www.nankai.co.jp/misaki/

南海電気鉄道
http://www.nankai.co.jp

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